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03月05日-05号

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  1. 高知県議会 2021-03-05
    03月05日-05号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年  2月 定例会(第357回)-----------------------------------        令和3年3月5日(金曜日) 開議第5日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       井上浩之君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      織田勝博君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     馬殿昌彦君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第5号)   令和3年3月5日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計予算 第2号 令和3年度高知県収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和3年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和3年度高知県旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和3年度高知県用品等調達特別会計予算 第6号 令和3年度高知県会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和3年度高知県県債管理特別会計予算 第8号 令和3年度高知県土地取得事業特別会計予算 第9号 令和3年度高知県国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和3年度高知県災害救助基金特別会計予算 第11号 令和3年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和3年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和3年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和3年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和3年度高知県県営林事業特別会計予算 第16号 令和3年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和3年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和3年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和3年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和3年度高知県流域下水道事業会計予算 第21号 令和3年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和3年度高知県工業用水道事業会計予算 第23号 令和3年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和2年度高知県収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和2年度高知県旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和2年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 令和2年度高知県県債管理特別会計補正予算 第29号 令和2年度高知県国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 令和2年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第31号 令和2年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 令和2年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第33号 令和2年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 令和2年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和2年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第36号 令和2年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和2年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第38号 令和2年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第39号 令和2年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第40号 令和2年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第41号 令和2年度高知県病院事業会計補正予算 第42号 高知県軽費老人ホーム等の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第43号 高知県指定居宅サービス等の事業等の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準等を定める条例議案 第44号 高知県指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第45号 高知県指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第46号 高知県ホストタウン新型コロナウイルス感染症対策基金条例議案 第47号 高知県新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例議案 第48号 高知県中小企業・小規模企業振興条例議案 第49号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県建築士法施行条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第60号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県立中学校、高等学校及び特別支援学校設置条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県が当事者である和解に関する議案 第64号 高知県が当事者である和解に関する議案 第65号 南国市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第66号 香南市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第67号 日高村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第68号 香南香美衛生組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第69号 仁淀川下流衛生事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第70号 日高村佐川町学校組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第71号 仁淀消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第72号 高知中央西部焼却処理事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第73号 田ノ浦漁港製氷貯氷施設指定管理者の指定に関する議案 第74号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第75号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第76号 県が行う流域下水道の維持管理に要する費用に対する市の負担の変更に関する議案 第77号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第78号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第79号 (仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告第2 一般質問   (2人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(三石文隆君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計予算」から第79号「(仮称)南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで並びに報第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」及び報第2号「令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」、以上81件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 7番田中徹君。   (7番田中徹君登壇) ◆7番(田中徹君) おはようございます。自由民主党の田中徹でございます。 平成23年3月11日14時46分、東日本大震災の発生から間もなく10年、新型コロナウイルス感染症という新たな危機と直面している今、生命と財産、そして暮らしを守るために私に何ができるのか、政治に求められていることとは何なのか、自らを見詰め直す今日この頃です。では、順次質問をさせていただきます。 初めに、農業についてお伺いします。第3波と言われる今般の新型コロナウイルスの感染拡大の緊急事態宣言による飲食店の営業時間短縮要請などの影響により、シシトウやオオバ、小ナス、米ナス、花卉など、本県の産地にも影響が出ています。とりわけ本県が全国一の生産量を誇るシシトウは、昨年12月の市場単価が前年の半分程度に落ち込むなど深刻な状況になっています。 私も先月、JA高知県の職員の皆さんと共に、地元南国市のシシトウ農家の方々を訪問させていただきました。その際に、農家の皆様から寄せられた御意見や御要望を少し紹介させていただきたいと思います。これまで産地を守るためにシシトウ栽培を続けてきたが来作については少し品目転換も考えている、このままでは払うものも払えない、新規就農者を何とか助けてほしい、国も県も頑張る農家を応援してくれない、また、知事に何とか助けてもらうように伝えてもらいたいと、私に切実に訴えかけられる方もいらっしゃいました。このように、現下の単価の低迷とともに、先行きを心配する声も多く聞かれました。 そこで、今般の新型コロナウイルス感染拡大により大きな影響を受けた生産者に対して、将来への不安を払拭する取組や、今後のさらなる支援策について知事にお伺いします。 次に、令和3年産米の需給対策についてお伺いします。令和2年産の主食用米については、人口減少等による需要減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響などによる消費減退で、深刻な過剰に直面しています。このため令和3年産米に向けては、全国で過去最大規模の6.7万ヘクタール、生産量に換算すると36万トンもの作付転換が必要な状況です。これが実現できなければ、需給と価格の安定が崩れ、危機的な事態に陥りかねないとも言われています。また、そのような状況から、国では主食用米からの転作に向けての支援策を強化しています。 そこで、令和3年産米の需給対策について、本県ではどのように取り組んでいかれるのか、農業振興部長にお伺いします。 また、近年本県は、次世代型こうち施設園芸システムの普及推進などにより農業産出額が増加するなど、園芸品目を中心に成果を上げてこられています。一方では、就業人口の減少や高齢化、耕作放棄地が増加するなど、課題も山積しています。 そこで、本県農業の現状をどのように認識し、今後取り組んでいかれるのか、知事に御所見をお伺いします。 今定例会には、2件の令和2年度高知県一般会計補正予算専決処分報告が報告議案として上程されていますが、とりわけ本年1月29日に専決処分されました、営業時間短縮要請対応臨時給付金についてお伺いいたします。 この臨時給付金は、飲食店などに対する営業時間の短縮要請や県の対応ステージの特別警戒への引上げにより、事業活動に大きな影響を受けた事業者を幅広く支援するため、国の一時支援金より対象者を拡充し、昨年12月の売上高が前年比で30%以上減少した法人に上限40万円、また個人事業主には上限20万円が給付されるものです。国の一時支援金に比べ、売上高の減少幅を30%以上に設定されたことや対象者を幅広く設定されたことには、大いに賛同するものです。 しかしながら、さきに述べましたように、大きな影響を受けたシシトウやオオバ、花卉などを生産する農家でも、栽培面積や売上高の規模には関係なく、一律で最大20万円が給付される制度となっています。果たして、この臨時給付金の対象者に農業や漁業といった1次産業に携わる方々を含めることが本当に適切だったのか、今でも疑問を感じています。1次産業に携わる方々には、別のスキームで給付する制度を創設することが必要ではなかったかと考えています。 私は、1月23日にこの臨時給付金の対象者に農家の方が含まれると知った後、担当部署には栽培面積や売上高に見合った、少しでも農家の方々に不公平感が出ないような制度にできないかと相談しましたが、シシトウ農家は今回の制度の対象に全て含まれる、今回は幅広い事業者を対象としているため農業者もこの臨時給付金の対象に含みたいといったお答えでした。 現在、この臨時給付金の申請受付が行われていますが、市場単価が低いため、できるだけ収量を増やして、少しでも売上げを伸ばそうと努力された農家の方が対象から外れていることも事実です。そのような対象から外れた農家の方からは、先ほども御紹介しましたように、国も県も頑張る農家のための支援策になっていないといった厳しい御意見も聞かれるところです。 当初想定されていたように、シシトウ農家の方が全員該当するということはないということ、そして品目ごとの栽培面積に合わせたスキームを提案してきた私にとって、このような結果になったことは非常に残念でなりません。今後、今回のような県独自の給付金制度を創設する際には、対象者に農業などの1次産業に携わる方々を一律に含めることについては、考え直していただきたいと私は思っています。 そこで、知事にお伺いします。1月29日に専決処分された営業時間短縮要請対応臨時給付金の対象者に、農業者や漁業者といった1次産業に携わる方々も含めたことに関して知事の御所見をお伺いします。またあわせて、対象者を決定するまでにどのような議論があったのか、知事にお伺いいたします。 また、私は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を多角的に捉えなければならない場面で、今後においては地方自治法第179条第1項の規定による専決処分を行うことは極力避けるべきではないかと考えます。御案内のとおり、地方自治法第179条第1項は、議会の議決すべき事件について、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときに、普通地方公共団体の長はその議決すべき事件を処分することができるというものです。 今定例会には2件の専決処分の報告議案が上程されていますが、特に1月29日の専決処分に関しては、議会を招集する時間的余裕がなかったのかということに疑問を感じますし、先ほど営業時間短縮要請対応臨時給付金について触れましたとおり、県独自の支援策が公の場で議論されることなく事業が実施されるということは、極力避けるべきではないかと強く感じています。 そこで、地方自治法第179条第1項の規定による専決処分について、知事はこれまでどのような思いで専決処分を行ってこられたのか、また今後の専決処分の在り方について知事の御所見をお伺いします。 また、自戒の念を込めて申し上げますが、今般の新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、県民の皆様が日々感じておられることや、御意見や御要望といった県政に対する県民の皆様の率直な声が届いていないのではないかと感じます。感染拡大前には様々な会合や懇親会に出席させていただくことにより、初めてお会いする方や久しぶりにお会いする方など、様々な立場や分野で御活躍される方々に、幅広い御意見をお聞きすることができました。しかしながら、現在のコロナ禍では、お酒を酌み交わしながらお話をするような大規模な宴会のほぼ全てが中止になり、いかにして幅広く県民の皆様の声をお聞きするか、私自身苦心しているところです。 そこで、今後の県政運営において、県民の皆様の幅広い声をどのように聞き、施策に反映させていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、雇用労働対策についてお伺いします。これまで本県においても、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して、事業の継続と雇用の維持に向け、様々な対策や取組が進められていますが、新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、仕事を失った方が感染への不安から、求職活動をしていないという実態も明らかになってきています。 先月25日のNHKの朝の番組で、労働経済学が専門の東京大学玄田有史教授が国の統計データを分析し試算した結果、仕事を失った人のうち感染の拡大などを理由に求職活動をしていない方が、昨年12月の時点で完全失業者数194万人のおよそ3割に当たる59万人に上るということが放送されていました。 また、1月18日付日本経済新聞朝刊では、野村総合研究所の武田佳奈氏が、昨年末にパート、アルバイトの女性を対象に約5万6,000人の調査を実施したところ、「シフトが5割以上減った人は1割おり、そのうち7割超の方は手当を受け取っていない。こうした実質的な失業者は推計で約90万人に上り、1月の緊急事態宣言により、まだ増える可能性がある」。また、「休業中のパート・アルバイト女性の56%が新しい仕事を探したいと答え、その8割が異なる職種でもよいとしている。人手不足産業への移動支援は長期的に見ても有効だ」。そして、「何でも相談できるコロナ専門の行政窓口が必要だ。単身者への支援など、世帯や個人の置かれている状況に合わせた取組を求めたい」との記事が掲載されています。まさしくだと感じました。 このように、本県でも仕事を失ったまま求職活動を行っていない方や、非正規で仕事が減っているのに行政支援の窓口につながっていない方々が、水面下ではもっともっといらっしゃるのではないかと思います。他県では、一時的に雇用の維持が難しくなった企業と人手不足の業種を結びつける仲介事業を行う自治体や、また自治体のサイトに求人情報を掲載し、専用窓口を設け相談に応じるなど、地方自治体自身が就労を取り持つ動きが広がってきています。 そこで、本県においても、新型コロナウイルスの余波がまだまだ続くと思われる中、将来の労働移動も見据え、短期間や短時間雇用の仕事も掘り起こし、行政主導でマッチングすることが必要になってきているのではないかと考えます。例えば、こんな仕組みはどうでしょうか。朝、県庁に仕事を求める方が集合します。農業であったり、建設業であったり、様々な職種の働き場所へ運んでくれる貸切りバスが待機していて、それぞれの雇用先に移動してくれます。そして、就業時間後はまた県庁に運んでくれる。その日のうちに日当が受け取れる。県庁でなくても構いません。事前登録していれば、集合場所から雇用場所まで送迎してもらえ、一日働けばその日のうちに給料がもらえるというシステムです。単発の仕事のほうがチャレンジしやすいとの声もお聞きします。 コロナ禍でアルバイトの機会を失い困窮している学生たちやパートタイム雇用の方々の副業にも適していますし、幅広い労働にもつながるのではないでしょうか。また、そうすることで、疲弊している観光バス会社の支援にもつながらないかとの思いもございます。 風が吹けばおけ屋がもうかるということわざがありますが、コロナ禍での地域経済を循環させるには、一見因果関係のない事柄からの派生が功を奏するのではないかと考えますし、県庁にはその起点であってほしいと願うばかりです。 また、有効回答数が801とサンプル数が少し少ないですが、こんな調査結果もありました。クックビズ株式会社が全国の飲食従事者へ副業に関する実態調査を行ったところ、副業を行っている飲食従事者は約20%に上り、その約半数がコロナの影響で副業を開始している。副業を始めた飲食従事者のうち6割近くの方が収入が上がっており、7割にも上る方々が今後も副業を継続したいと考えている。一方で、副業を行っていない人の約45%が、その理由として副業先が見つからないからというものでした。 働きたくても働けない。せっかくの労働意欲を現実が阻むことがあってはなりません。ワクチン接種も始まり、少し明るい兆しも見える中、全ての県民が本当の意味で平穏を取り戻せるように、新しい労働スタイルの確立に、ハローワーク任せではなく、県を挙げてサポートするときが来ているのではないかと感じています。 そこで、このような状況から、本県においても将来の労働移動も見据え、短期間や短時間の仕事を掘り起こし、積極的に仕事のマッチングを行ってはどうかと考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いします。 次に、県内の消費喚起策についてお伺いします。先日、高知県「Go To Eat キャンペーン」の販売期間が5月31日まで再延長されました。2月21日時点での販売額は約21.9億円で、販売予定額が62.5億円ですので、まだ40億円余りが残っているということになります。新型コロナウイルスの第3波の影響による販売休止や利用自粛、また商工会議所など窓口での販売が平日に限られることや、大手コンビニ・ファミリーマートに多く配分したことなどにより売れ残っているとのことです。この農水省の「Go To Eat キャンペーン」は、飲食店のみならず、食材を提供している農林水産業者も応援する趣旨で実施されていることから、ぜひ県民の皆様にも利用していただきたいと思います。 また、本県では2月上旬から県産品の購入や県内観光を促進する、地産地消キャンペーン「コロナに負けるな!高知家応援プロジェクト」を展開しているところです。他方で、新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、影響を受けている事業者の皆様を応援する、助けるという気持ちが少し薄らいでいるのではないかと危惧しています。 そこで、県内消費を拡大するためには、県民の皆様にいま一度、高知家のみんなで応援するという気持ちになっていただくことが何より肝要と考えますが、今後どのように地産地消の取組を進めていかれるのか、産業振興推進部長にお伺いします。 次に、南海トラフ地震対策についてお伺いします。 冒頭でも触れましたが、今月11日には、東北地方を中心に未曽有の被害を引き起こした東日本大震災から10年という節目を迎えます。当時、津波の大きな爪跡が残る沿岸部を視察し感じたことは、10年がたった今でも鮮明に覚えています。今後、高い確率で発生すると言われる南海トラフ地震の備えを急がなければなりません。今回は、事前復興の観点から何点か質問をさせていただきます。 私が東日本大震災の被災地を視察調査した際、多くの方より教わったことは、より多くの住民の命を守るためには、住居や公共施設など事前に高台などの安全な場所に移しておくことしかないということでした。本県でも、これまで役所や学校、保育園、警察署、消防署など多くの公共施設が高台など浸水想定区域外に移転するなど、順次対策が進められています。また、今後は市町村における事前復興まちづくり計画の策定に向けて取り組まれるものと承知しています。 そこで、今後の市町村の復興まちづくり計画を策定する上で、市町村の境を越えた広域的な公共施設の連携という視点を持って取り組めないかと考えます。例えば、図書館や学校、保育園などが今後、事前に移転建築する際には、市町村の枠を超えて隣の市町村と合同で建築し、複数の自治体が合同で維持していくということも視野に入れるべきではないかと感じています。今、東北の被災地では人口減少に伴い、公共施設の維持に苦慮している自治体もあるとお聞きしています。 また、本年1月には総務省から、令和3年度までの公共施設等総合管理計画の見直しに当たっての留意事項についての通知が発出されましたように、来年度は県内市町村においても、公共施設等総合管理計画の見直しが行われることと思います。この通知において、複数団体の連携による取組も積極的に推進することが重要であり、必要に応じ、広域連携の取組について盛り込むことが望ましいと記されているように、県内市町村が広域連携の視点を持って来年度の総合管理計画見直しを行うことで、今後作成を目指す市町村の事前復興まちづくり計画との整合性を図ることも大切ではないかと考えます。併せて、公共施設等適正管理推進事業債の拡充や延長など、令和4年度以降の在り方について国に政策提言を行ってはどうかと考えます。 そこで、事前復興の観点から、公共施設等総合管理計画の見直しにおいて、市町村への広域連携の積極的な推進を促すことについて知事の御所見をお伺いします。 また、今回の質問に際し、県内の沿岸域に位置する公共施設や要配慮者施設などを地図上で把握したいと思いましたが、現在そういったマップはなく、手作業で地図を作成していただきました。南海トラフ地震対策に限ったことではありませんが、本県でもできるだけ早い時期に統合型のGIS--地理情報システムを整備することが重要ではないかと思いました。 現在も、それぞれの所属で地理情報システムを使ったシステムがあるものの、それぞれの目的に沿って作成されており、重ね合わせることは非常に困難です。統合型GISは各所属で導入するよりもコスト面や効率性で大きなメリットがあります。 そこで、本県でも統合型GISの導入に向けて取組を進めていくべきと考えますが、現状と今後の取組について総務部長にお伺いします。あわせて、導入に当たっては市町村との共同利用も考えるべきだと思いますが、総務部長の御所見をお伺いします。 また、これまで県内では、南海トラフ地震など大規模災害の発生を想定して、前方展開型の医療救護体制の構築に向けた取組が進められてきています。一方で、現在新型コロナウイルスワクチン接種の実施に向けて、県も市町村と連携して準備が進められているところです。このワクチン接種という事業を通じて、市町村職員も含め自治体職員が地域の医師や看護師と連携して仕事をすることは、今後の活動にも生かせる貴重な経験になるのではないかと思っています。 そこで、今回のワクチン接種での自治体職員と地域の医師や看護師との連携を今後の施策に生かせないかと考えますが、健康政策部長に御所見をお伺いします。 次に、消防防災ヘリコプターについてお伺いします。平成8年から続いてきた本県の消防防災ヘリコプターの運航体制が、自主運航から民間による委託運航へと移行されることになり、消防隊員を派遣している消防本部や、現在消防防災航空センターに派遣されている消防隊員の中には、今後の運航体制に不安を感じておられる方がいるともお聞きしています。 昨年12月10日、高知県消防長会から知事に、高知県消防防災ヘリコプターの安全運航体制の確立についてという要望書が提出されていると承知していますが、この要望書においても運航再開のめどが不透明なことに加え、災害対応への不安、派遣している消防隊員の安全確保や心身の健康状態が危惧されるなど、懸念を抱かれておられます。またあわせて、安全に運航できる体制の確立と早期の運航再開を望まれています。 そこで、消防長会をはじめ現場で従事する消防隊員の方々の不安を払拭するためにも、今後の高知県消防防災ヘリコプターの安全運航体制の確立に向けた、知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。 続きまして、南国市における開発許可制度の規制緩和についてお伺いします。南国市は、平成30年度に開発許可業務の権限が県より移譲され、市の抱える課題に対応した市街化調整区域の規制緩和を行ってきています。また、今年度には、集落拠点周辺エリアの立地基準の緩和により、地域コミュニティー機能の維持は図られたか、居住誘導区域への集住が進まず居住誘導区域から集落拠点周辺エリアへの転居が促進されるおそれはないかという論点の下、開発許可基準の緩和に関する検証が行われています。 私もその検証結果を拝見しましたが、先ほどの論点との整合性も取れており、平成30年当時県や関係市町が心配していたような緩和による影響は起きていないと感じました。他方、南国市南部の地域では高齢化が進み、人口減少に歯止めがかかっていない現状もあります。地元の方からも、このままでは集落の維持ができないといった声も多く寄せられています。 そこで、既存集落を維持するためには、市街化調整区域内における開発許可基準のさらなる規制緩和が必要であると考えますが、県としてのお考えを知事にお伺いいたします。 次に、警察行政について、とりわけ公務中の交通事故や交通違反についてお伺いします。 まず、警察職員の公用車による交通事故についてです。頂いた資料によりますと、平成30年は人身2件と物損85件の合計87件、令和元年は人身3件と物損74件の合計77件、令和2年は人身2件と物損64件の合計66件となっており、近年は減少傾向にはありますが、この件数が多いと感じるのは私だけでしょうか。人間が運転しているのですから、当然ミスもあります。しかしながら、少しでも件数を減らす努力をし、限りなく件数をゼロに近づける努力は組織として必要かと思います。 そこで、これまでも事故をなくす様々な指導や教育など取組がなされてきているとは思いますが、今後公務中の交通事故を減少させるためにどのような取組をなされるのか、警察本部長にお伺いします。 また、警察職員の交通違反についてお伺いします。交通違反は交通事故と違い、自らの意思によって防げるのではないかと思いますが、公務中、公務外問わず一定数発生しているとお聞きしています。 そこで、過去5年間における警察職員による交通違反の発生状況について警察本部長にお伺いします。またあわせて、交通違反をなくするために今後どのように取り組まれるのか、警察本部長にお伺いいたします。 今回、警察職員の交通事故や交通違反について取り上げさせていただきましたが、県民から信頼される県警察になるためには、公安委員会も県警察と一緒になって取り組んでいただきたいと思います。 そこで、本県警察の交通事故や交通違反の発生状況について、どのように認識されておられるのか、公安委員長の御所見をお伺いします。 それでは、たばこに関してお伺いします。 初めに、喫煙者の私がたばこに関して質問するということに、正直戸惑う気持ちもありましたが、非喫煙者の方々からの要請もあり、今回質問をさせていただくことになりましたので、御理解を賜りたいと思います。 まず、本県のたばこを取り巻く環境について少し御紹介させていただきたいと思います。本県の葉たばこの耕作状況は、農家数55戸、面積93.6ヘクタール、販売高は約4億3,000万円です。たばこ耕作農家の方々は、増税や規制強化などの影響による、たばこ消費量の減少という厳しい状況下においても、葉たばこの品質向上や収穫安定化への取組を続けておられます。また、小規模なたばこ店では、近年の度重なる増税や規制などにより経営が悪化し、死活問題となっているとのことです。 そして、飲食業や宿泊業などのサービス業においては、改正健康増進法の全面施行により、原則屋内禁煙の措置に伴う店舗の改装や標識の掲出などの対応が求められ、新たな負担が生じている現状です。また、飲食店では、店舗内に喫煙スペースを設けた場合、従業員であっても20歳未満は立入禁止となるため、アルバイトを雇うことも困難な状況になっているともお聞きしています。 他方で、たばこ税については国や地方公共団体にとって重要な財源であり、特に地方財政においては年間1兆円規模の貴重な財源として、長年にわたり多大な貢献をしています。本県においても、令和元年度の地方たばこ税収入は、県が約8億円、市町村は約49億4,900万円に上り、貴重な一般財源として大きく貢献していると思われます。 このような本県の状況を鑑みたとき、そして改正健康増進法の目的である、望まない受動喫煙を防止するといった観点も踏まえ、たばこを吸う人と吸わない人が共存できるよう、もう少し取組を主体的に行うことが求められているのではないかと考えます。 そこで、これまで本県において受動喫煙の防止に向けた取組はどのように行われてきたのか、知事に御所見をお伺いします。 また、昨年12月10日に取りまとめられた令和3年度与党税制改正大綱においては、令和2年度に引き続き、望まない受動喫煙対策の推進や今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保の観点から、地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体が駅前、商店街などの公共の場所における屋外分煙施設等のより一層の整備を図るよう促すこととするとされております。 加えて、本年1月20日に総務省自治税務局から発出された、令和3年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等についてでは、望まない受動喫煙を防止するためには、公共の場所における屋外分煙施設の設置等が考えられるところであり、また、こうした取組は今後の地方のたばこ税の継続的かつ安定的な確保にも資すると見込まれることから、屋外分煙施設等のより一層の整備を図るために、積極的に地方のたばこ税の活用を検討していただきたいことと記載されています。 こうしたことからも、本県においても今後は、たばこ税の一部を活用した積極的な受動喫煙の防止に向けた取組を行うべきではないかと考えます。一例を挙げれば、現在も多くの観光客が訪れている県有施設においても、喫煙場所すらない施設や灰皿だけを設置している施設があるなど、対策を取らないことで、かえって被害を助長することもあることから、望まない受動喫煙を防ぐ取組が進んでいるとは言い難い状況だと認識しています。 そこで、まずは本県の取組として、多くの観光客が訪れる場所から、順次屋外分煙施設等を整備することに取り組まれてはどうかと考えます。また、今後は受動喫煙の防止に向けた積極的な取組が必要と考えますが、知事に御所見をお伺いします。 最後の項として、eスポーツについてお伺いします。 昨年の2月定例会において、eスポーツの活性化について質問をさせていただきました。その際に知事からは、他県の取組状況などの情報も集め、県としてどのような関わり方ができるのか研究をしたいとの御答弁をいただきました。 この1年、県内では、岡豊高校のサッカー部の生徒がeスポーツの全国大会に出場、また城山高校に四国では初めてとなる部活動としてのeスポーツチームが発足するなど、県内高校においても新たな動きが出てきています。また、高知県eスポーツ協会と民間企業が共同運営によるチームを発足させるなど、徐々に広がりを見せてきているところです。 昨年12月4日には、本県主催による自治体職員向けのeスポーツに関するセミナーも開催していただきました。その会の中で学校関係者の方から、実際にどのように学校で普及していけばいいのか分からないといった質問もございました。やはり県内の一部では広がりを見せているものの、普及するまでにはまだまだ時間を要すると感じたことでした。改めて、行政主導による計画や指針といった方向性を示すものが必要ではないかと考えています。 そこで、前回の質問から1年がたちましたが、本県のeスポーツの活性化に向けて県としてどのように取り組まれ、今後どのように関わっていかれるのか、知事に御所見をお伺いし、第1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 田中議員の御質問にお答えをいたします。 まず、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けました生産者に対しまして、不安を払拭する取組や今後のさらなる支援策についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴います飲食店への営業時間短縮要請によりまして、飲食店等の業務需要の多いシシトウや花卉などの生産者の皆様には、大きな減収が見込まれております。お話にございましたシシトウにおいては、昨年の春頃から販売価格は下降ぎみでありましたけれども、10月には例年並みに回復をし、堅調に推移をしておりました。しかしながら、昨年末からの感染再拡大に伴いまして、例年であれば市場取引価格の高値が期待をできる12月に前年比で48%と大きく下落し、1月においても53%と下落したままの状態が続いておるというふうに承知をしております。 こうした厳しい状況でございますので、生産者の皆様が今後の販売価格の動向や次期作の経営に不安を抱かれていることは、私も承知をしているところでございます。 農産物の価格は、景気や消費動向、天候などの影響を受けやすく、そのことにより生じる需給の不均衡から価格が不安定となり、時に暴落をしたりすることもございます。そうしたことから、野菜農家の経営に及ぼす影響を緩和するために、シシトウやナスなど主要な野菜におきましては、価格差を補填いたします野菜価格安定制度が設けられております。また、別の制度にはなりますが、先の価格低下だけでなく、農業者の経営努力では避けられない様々なリスクから農業経営を守る趣旨での、収入保険制度もセーフティーネットとして設けられているところでございます。 県内の主要な野菜の生産者の多くの方々は、これらのセーフティーネット制度に加入されておりますが、まだ加入されていない生産者もおられます。県といたしましては、まずは全ての生産者が何らかのセーフティーネット制度に加入をしていただけるように、JAグループや市町村とも連携をしながら、未加入の生産者に加入を促してまいりたいと考えております。 加えまして、今後も新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期的に続く場合には、生産者の皆様のお声をしっかりお聞きしながら、影響のある品目への必要な支援を検討してまいります。 次に、本県農業の現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 高齢化などによりまして生産者の減少が続く中で、農業が産業として持続をしていくためには、しっかりとした基盤を構築いたしました上で、担い手を確保していくことが何よりも重要であります。そうした厳しい状況の中でも、これまでの産業振興計画の取組によりまして、新規の就農者数は平成20年に114人であったところ、近年は270人前後で推移をいたしております。また、農業産出額等は、平成20年の1,026億円から30年は14.7%増の1,177億円となっており、成果が現れてきたところであります。 一方、ウイズコロナ、アフターコロナ時代におきますコロナ禍を契機とした社会構造の変化に、本県農業を的確に対応させていくということも重要であります。このため、第4期産業振興計画のバージョンアップにおきましては、付加価値や労働生産性の高い産業を育むという大きな方向性の下で、農業におきますデジタル化を強力に推進してまいります。 特に、お話もございましたように、農家所得に直結する生産力を高める取組でありますNext次世代型こうち施設園芸システムの開発をさらに進めてまいります。具体的には、これまでの経験と勘に頼った農業から、生産情報や出荷データなどを分析、可視化して最適な営農を行いますデータ駆動型農業へと進化させてまいりたいと考えております。また、パソコンなどを用いていない小規模な家族経営体にもその効果がもたらされますように、JAなどの関係機関と連携をした営農支援体制を構築してまいります。 デジタル技術を活用しました農業は、経営の規模や形態を問わず、本県の農業全体の水準を引き上げていくというものでありますので、中山間地域の多い本県にとりまして、非常に有効な手法であるというふうに考えております。こうした取組を攻めの姿勢で推進するということによりまして、本県農業の強みと魅力を高め、地域で暮らし稼げる農業という大目標の実現を目指してまいります。 次に、営業時間短縮要請対応臨時給付金につきましてお尋ねがございました。 12月に要請を行いました営業時間の短縮は、第1波、第2波で打撃を受けた後の年末の書き入れどきに行うというものでもございましたので、幅広い業種の皆様方に甚大な影響を与えるものでございました。県内の事業者の大多数はもともと経営体力が乏しい小規模零細事業者でございますために、一日でも早く支援を行い、下支えをしたいというふうに考えたところであります。このため、専決処分によります給付金制度の創設を決断いたした次第であります。 対象の業種につきましては、県内のお困りになっております事業者をできるだけ救いたいという思いから、宗教法人などを除く全業種という非常に幅広い形を選択いたしました。私の気持ちといたしましては、同じ30%以上売上げが減少したのであれば、農業者にも漁業者にもひとしくこの給付金を支給したいという考えに基づいたものでございます。 また、これまでに事業規模や影響度合いに応じました支援を望む声も数多くいただいておりました。また、県議会の特別委員会でもそういった御議論をいただいたということもございまして、従業員規模に応じました新たな給付金を今議会に提案をさせていただいております。こちらの対象業種につきましても、同じような考え方の中で宗教法人などを除く全業種という位置づけとさせていただきました。 県では、これまで経済の回復に向けまして、まずは事業の継続と雇用の維持、次に経済活動の回復、そして社会の構造変化への対応というこの3つの局面に応じまして、様々な対策を行ってまいりました。今後も、新型コロナウイルス感染症の影響が先行き不透明でございますので、県内の経済動向を注視し、また事業者のニーズも伺いながら、必要な対策をしっかりと実施してまいります。 次に、予算の専決処分に対する考えと今後の在り方についてお尋ねがございました。 予算を伴います事業の実施に当たりましては、県議会に予算案を提出し、御審議をいただいた上で議決を賜るということが大前提、そして大原則であるということは、議員御指摘のとおりでございます。一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の対応のように、感染拡大防止や県内事業者への支援の中で特に急を要する取組につきましては、県民や事業者への影響を最小限にとどめるという観点から、やむを得ず専決処分による予算措置を行わざるを得ない場合が生じることもあると考えております。 特に、御指摘の1月29日の専決処分は、経済的に厳しい状況にある事業者、特に小規模な事業者の方々に一日も早く支援を届ける必要があると考えまして、専決処分という手法を取らせていただいた次第でございます。 今後につきましても、基本的な考え方としましては、専決処分を行うことは極力避けるべきだというふうには考えておりますが、県議会の御意見も伺いながら、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えるべく、適切に対応してまいりたいと考えております。 次に、県民の声をどのように聞き、施策に反映させていくのかというお尋ねがございました。 議員から御指摘がございましたように、新型コロナウイルス感染症の影響がございまして、多くの会合や懇親会が中止となりまして、私自身、県民の皆様と直接お会いをして懇談をする機会というのが大きく減っている状況であります。 こうした中、県民座談会「濱田が参りました」につきましては、駆け足ではございますけれども、全市町村で年度内に開催をさせていただきたいということといたしておりまして、県民の皆様と対話をする貴重な機会となっております。2年目となります来年度からは、タイトルを「再び、濱田が参りました」とモデルチェンジをいたしまして、より深く具体的に地域地域の実情をお聞かせいただきたいというふうに考えておるところでございます。 具体的には、これまでの座談会に加えまして、様々な現場で頑張っておられる方々の現場を直接訪問いたしまして、その場でなければ実感できない課題、解決に向けた取組などを拝見し、またお話を聞いてまいりたいというふうに思います。あわせて、その際には、感染症の状況にもよりますけれども、工夫もしながら可能な限り懇親会も開催させていただきまして、多くの住民の皆様と直接ざっくばらんな率直なお話をさせていただきたいというふうに考えております。 また、県民の皆様から忌憚のない御意見をお寄せいただきます知事への手紙の制度では、コロナ禍ということもございまして、既に例年の3倍を超える1,000件以上の御意見を本年度いただいているところであります。こうした御意見は、私にとりましても、県民の皆様が県政に対してどのように感じているかというのを把握する上で大いに参考になっております。 今後も、こうした機会を通じて頂いた様々な御意見を基に、5つの基本政策をはじめといたしました施策のバージョンアップを図りながら、取組を進めてまいります。 次に、事前復興の観点から、公共施設等総合管理計画の見直しにおきます市町村の広域連携を図るべきではないかという点についてお尋ねがございました。 公共施設等総合管理計画は、個別施設ごとに作成をいたします長寿命化計画の内容もできる限り踏まえまして、令和3年度中に見直しを行うべきものとされております。また、その際には、必要に応じて、広域連携の取組を盛り込むことが望ましいというふうにされているところであります。 ただ、現状でこの計画は、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を主たる目的といたしておりますので、本県の市町村で見ますと、長寿命化に係ります事業が全体の3分の1を占めていると、事業量で見ますとそういった状況でございます。ほかの柱といたしまして、施設の集約化、複合化がございますが、これらについて言いますと、例えば宿毛市の小中学校の合築あるいは四万十市の複合文化施設整備、こういったものが上げられておりますけれども、いずれも現状では市町村区域内の複合化の取組にとどまっているということでございます。 一方、お話のございました事前復興の取組につきましては、高知県事前復興まちづくり計画策定指針検討会を設置いたしまして、来年度中に県としての指針を策定することとしております。この指針を基に、市町村が事前復興まちづくり計画を策定する際には、議員から御指摘もございましたように、広域連携の視点も踏まえた検討も加えられるべきものというふうに考えております。 このため、市町村に対しましては、今般の公共施設等総合管理計画の見直しに際しまして、事前復興の観点も踏まえて、周辺市町村との連携も視野に入れた検討を行うように助言をしてまいります。 また、もう一点御指摘がございました公共施設等適正管理推進事業債、地方債の制度でございますが、これにつきましては、本県市町村では新設からの4年間で約134億円の発行見込みとなっておりまして、事業ニーズが非常に高い起債の一つとなっておるところでございます。ただ、これもお話がございましたように令和3年度が期限となりますので、国に対しましては、対象事業や交付税措置の拡充と併せて、この対象期間の延長に向けて、市町村と連携をしまして政策提言を行ってまいる考えであります。 次に、消防防災ヘリコプターの安全運航体制の確立についてお尋ねがございました。 御指摘ありました今回の委託運航への移行に伴いまして、消防隊員からは、要救助者をつり上げる際のホイスト操作を新たに担う必要があるということ、あるいは委託先との連携が大丈夫かといった不安を感じているとの声があったところでございます。 こうした不安を払拭するために、消防隊員が昨年10月から12月にかけまして、既に委託運航を実施しております徳島県や香川県など7県の航空隊を訪問いたしまして、ホイスト操作などの研修を受けますとともに、委託運航による活動についての調査を行ってまいりました。 今年1月には民間航空会社との委託運航契約を締結し、その後4月から実施をいたします操縦士の飛行訓練あるいは消防隊員のホイスト救助訓練の具体的な計画を策定するといった形で、現在関係者が一丸となって準備を進めているところでございます。 この3月末には、一昨年の台風で被災をいたしました「おとめ」の後継機が配備をされることとなっております。その後は、この計画に基づきまして、実機による訓練を重ね、年内をめどに救急業務などから段階的に活動を開始したいと考えておりまして、来年4月からは全ての航空消防活動を実施していく予定といたしております。 今後とも県民の皆様の安全と安心の確保に向けまして、消防本部との緊密な連携を図りながら、消防防災ヘリコプターの安全運航に努めてまいります。 次に、市街化調整区域内におきます開発許可基準の緩和についてのお尋ねがございました。 南国市では、平成30年に県から開発許可権限の移譲を受けまして、関係市町と調整を図りました上で、既存集落の維持のために、市街化調整区域の立地基準の緩和を行ったものというふうに承知をいたしております。2年が経過をいたしまして、南国市におかれまして規制緩和の検証をされた結果といたしまして、コミュニティーの維持が図られている既存集落がある一方、人口減少に歯止めがかからない地域もあったというふうにお聞きをしているところであります。また、短期間での検証でありますことから、人口動態や人口減少に歯止めがかからない原因が何かという点も含めて、引き続き調査をされていくという御予定だと聞いているところでもございます。 今後の対応は、この南国市の調査の結果次第ではございますけれども、この結果さらなる規制緩和が必要という議論になりましたら、都市計画法の趣旨を踏まえまして、南国市が関係市町と調整をしていくというような運びになります。こうした調整が具体化をしました際には、県といたしましても、高知広域都市計画区域のバランスの取れたまちづくりが進むように、積極的に関わってまいりたいというふうに考えております。 次に、たばこに関連をいたしまして、これまでの本県の受動喫煙の防止に向けた取組の状況についてお尋ねがございました。 受動喫煙の防止に向けた取組につきまして、健康増進法の改正前までの時点におきましては、チラシやフォーラムの開催などを通じて、県民の皆さんに対しまして受動喫煙の害について広報いたしておりました。また、禁煙、分煙に取り組む施設あるいは店舗などを認定する事業を実施いたしまして、禁煙・分煙施設の拡大を図りまして、受動喫煙対策に取り組んだところです。 そうした中、平成30年7月に法律が改正をされまして、望まない受動喫煙の防止を図るために、多数の者が利用する施設に対しまして、その区分に応じて施設の管理者が講ずべき措置が定められるということになったところでございます。 そのため、県といたしましては、原則屋内禁煙となる施設に対しまして、この改正法に基づき必要とされます対応や施設整備に対する支援などを周知・啓発してまいりました。とりわけ、事業継続への影響が大きい飲食店につきましては、喫煙専用室を設置する場合の条件などを周知いたしますとともに、一定条件を満たせば店内を喫煙可能とする経過措置の活用の意向調査も行いました。さらに、必要に応じて福祉保健所が訪問いたしまして、助言なども行ってまいったところでございます。 法の全面施行となりました令和2年4月以降、法で定めます義務に違反しているとして寄せられた通報は48件となっておりますが、そのうち福祉保健所から説明や現地指導を受けました施設につきましては、全て是正の依頼に応じていただいているという状況でございます。 次に、今後の受動喫煙の防止に向けた取組についてお尋ねがございました。 議員からお話がございました多くの観光客が訪れます施設には、健康への影響が大きい子供など、御家族も一緒に訪れる場合が多いということでありますので、望まない受動喫煙の防止に取り組むことは重要だと考えております。そのため、喫煙者に対しまして周囲の状況への配慮義務を周知することに加えて、施設の状況によりましては、屋外分煙施設を整備することも大切な取組だというふうに考えております。 こうした屋外分煙施設の整備に関しまして、総務省から地方のたばこ税を活用して検討していただきたい旨の通知があったということは御指摘のとおりでございまして、この旨は2月の市町村税務担当課長会議で市町村に対しての周知は行っているところでございます。 一方で、観光施設は、屋外は規制の対象外でありますけれども、県有施設の多くでは受動喫煙対策を徹底いたしますために、あえて敷地内を禁煙とするなど法の規定以上の受動喫煙対策を取っております。こうして既に対策を踏み込んで取っている施設につきましては、法の趣旨を踏まえますと、新たに喫煙場所を設けるといった対応は避けるべきではないかというふうに考えますけれども、屋外に灰皿だけを設置しているというような施設につきましては、パーティションの設置を検討するというようなことによりまして、この受動喫煙防止の観点からの対応を行うように徹底をしてまいります。 あわせまして、民間の観光施設などにつきましても、法の趣旨を御理解いただきまして、適切な対応を行っていただけるように、引き続き相談対応あるいは助言を行ってまいります。 こうした取組を通じまして、望まない受動喫煙の防止に引き続き努めてまいりたいと考えております。 最後に、本県のeスポーツの活性化に向けた県の関わり方についてお尋ねがございました。 eスポーツは、現在国内外で様々なイベントが開催されておりまして、我が国では成長が期待される分野として、経済効果や社会的意義などについて調査や検討が進められております。また、他県におきましては、競技会やイベントを主催する自治体が一部にございますが、多くは民間団体などが行います取組の側面的な支援や、今後の対応を研究している状況が見られるようなところでございます。 本県におきましては、議員のお話にもありましたように、競技会の開催のほか、学校での活動や民間団体と企業が連携をいたしました取組といった新たな活動が広がりつつあります。また、県におきましては、昨年12月にeスポーツによる地方創生と題しまして、理解啓発セミナーを開催いたしました。参加者からは、eスポーツに可能性を感じているといった御意見が多数ありましたが、一方でゲームやネット依存に関する理解と対策を求める御意見もあったというようなところでございます。 県といたしましては、現時点では、例えばスポーツ推進計画などの県の行政計画に、eスポーツを位置づけるべき段階にまでは至っていないというふうに考えておりますけれども、スポーツ課を全体の窓口といたしまして、関係課がおのおのの政策目的達成に向けて、どういう形でこのeスポーツを活用できるかということを検討しながら、連携をして対応するという体制を取っております。 当面考えられる取組といたしましては、eスポーツを知っていただくための体験イベントの開催や、民間団体や企業が行う競技会の後援などが挙げられるところでございます。そうした取組を進める中で、まずは関係団体や学校関係者、障害者団体などから幅広く御意見をお伺いする場を設けたいと思います。その上で、行政としての関わりの在り方、あるいは地域や経済の活性化につなげる手法などを検討してまいりたいというふうに考えております。 私からは以上であります。   (農業振興部長西岡幸生君登壇) ◎農業振興部長(西岡幸生君) 本県における令和3年産米の需給対策についてお尋ねがございました。 令和2年産の主食用米につきましては、議員のお話にもありましたように、需要減少に見合った作付面積の削減が進まず、さらにコロナ禍の影響による業務需要等の低迷も加わり、昨年末の民間在庫量が例年以上に積み上がるなど、在庫の過剰に直面をしております。国では、こうした状況を踏まえ、令和3年産の主食用米については、全国で過去最大規模の6.7万ヘクタールの作付転換を促す需給見通しを昨年10月に公表いたしました。 本県では、令和2年産の主食用米の作付面積は1万1,200ヘクタールであり、3年産の県の生産数量目標としている1万980ヘクタールを達成するためには、さらに220ヘクタールの作付転換が必要となります。生産が過剰になった場合には、米価の下落による稲作農家の経営悪化を招くおそれがありますことから、県としましても危機感を持って需給対策に取り組まなければならないと考えております。 このため、県では、国の需給見通しの公表前から、市町村やJA等と需給対策の協議を進めてまいりました。特に、飼料用米やWCS等の非主食用米の作付拡大が見込まれる地域を重点地域に位置づけ、非主食用米の推進を強化しているところであります。さらに、令和3年度からは、国の水田活用の直接支払交付金を活用し、稲作農家と畜産農家が連携した飼料用米への取組に対し、10アール当たり1万3,000円を助成する県独自の耕畜連携加算を創設するなど、支援策の強化も図っております。 引き続き、稲作農家の皆様が将来にわたり安心して経営が続けられますよう、県、市町村、JA、そして稲作農家が一体となったオール高知による米の需給対策にしっかりと取り組んでまいります。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 短期間や短時間の仕事の掘り起こしとマッチングについてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症の影響で働くことができず、収入が減り厳しい状況にある方が、短期的な副業による収入を確保できれば、本人の生活が安定するばかりではなく、人手不足の解消にも資するものと考えます。さらに、円滑な労働移動にも寄与するものと考えるところです。 労働局にお聞きしますと、現状の仕組みで、こうした短期間、短時間での求人を受け付けることも可能となっていますが、その利用は年間に数件程度であるというふうなことでございました。御指摘のように、行政支援の窓口につながっていない方が求職者のみならず、事業者にもいることが考えられます。 県では、雇用対策協定を労働局と締結して、雇用施策を効果的、一体的に実施しており、来年度もこの協定に基づき、連携しながら課題に対応していくこととしております。コロナ禍の今、御提案のあったようなマッチングを行うには、国の既存のスキームを生かすことが有効な手だてと考えます。このため、お話のありました他の自治体の取組についても情報収集しながら、課題などについて労働局と話し合ってまいります。   (産業振興推進部長沖本健二君登壇) ◎産業振興推進部長(沖本健二君) 県民の皆様の地産地消をいま一度進めるための取組についてお尋ねがありました。 コロナ禍により外商活動が厳しい状況を踏まえますと、大きなダメージを受けている県内の飲食店や旅館、ホテル、生産者などを支えるためには、県民の皆様が一丸となって地産地消を推進していくことが重要です。そのため、官民協働で推進する高知家応援プロジェクトにおきまして、県産品の購入や県内観光を促進するキャンペーンを実施しますほか、テレビCMや新聞広告を通じ、県民の皆様に地産地消を呼びかけるメッセージを発信することで、県全体の大きなうねりを巻き起こしたいと考えております。 また、コロナ禍の今だからこそ地産地消という機運を高めていくためには、まずは私たち県職員が率先して行動すべきとの思いから、昨年12月に県職員発テイクアウト応援宣言を行いました。その一環として、先月から県庁内で定期的にテークアウト料理販売会を実施しており、出店した飲食店の皆様からは、県庁がそこまでしてくれるのかという驚きの声とともに、大変好評をいただいております。本日は、まさに第3回となります、テイクアウトの日であります。17時15分からの45分間、本庁1階玄関ホールがテークアウト会場にさま変わりし、大いににぎわうことになります。 私は、我が事ばかり考える世知辛い世の中にあって、こうしたアイデアを出し実践していく、そうした職員がおりますことを誇りに思いますし、県経済全体から見れば僅かなことかもしれませんが、知事を先頭に、困っている県民の皆様に常に寄り添い勇気づける、そのような県庁組織でありたいと思っております。 さらに、議員の指摘にもありましたGo To Eat食事券につきましても、試験的に県庁内での出張販売を行ったところ、予想をはるかに上回る販売につながりました。こうした取組について、市町村や民間企業でも実施していただきますことで、大きな応援の力につなげていきたいと考えております。 県内の感染は、年末年始と比べますと落ち着いてきているとはいえ、昨日は9人の感染者が発生するなど、今なお感染の収束が見通せない状況にあります。引き続き、県民の皆様の間に地産地消の機運が醸成されるよう努め、厳しい状況にある県内の事業者、生産者を全力で応援してまいります。   (総務部長井上浩之君登壇) ◎総務部長(井上浩之君) 本県における統合型GIS導入の取組と市町村との共同利用についてお尋ねがありました。 統合型GIS--地理情報システムにつきましては、本県では全国に先駆け平成14年度に導入をしております。しかしながら、月間600から700件のアクセスに対しまして、費用が年間1,500万円余りと割高であったということなどから、平成17年度を最後に運用を中止した経緯がございます。 現在は、防災マップや森林、道路の管理など7つのシステムについて、統合型ではなく、業務ごとに個別の地図情報を活用して運用しております。このうち、森林情報管理システムにつきましては、議員からお話がありました市町村との共同利用を行っておりまして、これら7つのシステムのランニングコストにつきましては、年間700万円弱というふうになってございます。 一方で、全国の状況を見てみますと、総務省の調査によりますと、統合型GISを導入している自治体は、令和元年度時点でございますけれども、都道府県では25団体と約半分、市区町村では1,019団体と約6割となっております。市区町村のほうが導入割合が高いのは、固定資産税とか地籍に関する業務など、地図情報に様々なデータを重ねて、各部署で共同利用する固有の業務が多いということが要因ではないかと考えております。 こうした統合型GISを導入している都道府県では、市町村との共同利用によりまして経費の削減に取り組んでいる事例もございます。また、本県が以前に導入した当時と比べますと、民間事業者による地図情報サービスの提供なども充実をしてきているところでございます。 このような状況も踏まえまして、平成14年当時と比べますとコストパフォーマンスも相当上がっておると思いますので、改めて利用されます県民の皆様の目線に立ちまして、本県での地図情報の効果的な活用方法につきまして、市町村との共同利用も含め、県庁全体のデジタルシフトを進める中で研究をしてまいりたいと考えております。   (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇) ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) ワクチン接種での自治体職員と地域の医師や看護師との連携を今後の施策に生かせないかとのお尋ねがございました。 一般的に市町村は、医療政策や保健所を所管する県と比べまして、日頃の活動において医療従事者や医療機関との関係性は少し薄い傾向にあると考えられます。一方、このたびのワクチン接種においては、その市町村が実施主体として中心となって、現在地域の医師会などの関係団体と連携して医師や看護師を確保するなどして、安全に、そして安心して接種ができる体制の準備を進めています。 この一連の取組を通じて市町村職員からは、地元医師会ら関係団体とこれまで以上に関係を深める機会となっている、通常業務では接することのない医療関係者とのネットワークができつつあるといった声をお聞きしておりまして、これまで以上に地域の医療関係者との距離が縮まっていることがうかがえます。また、今後本格化してまいりますワクチン接種事業を通して、お互いの顔が見える関係づくりが一層進み、距離感がなくなることで、さらに関係性は深まっていくものと考えています。 そのように、市町村と医療関係者との間で強い関係性が構築できますと、平時における地域住民の健康づくり活動をはじめ、南海トラフ地震などの有事の際にも協力が得られやすくなり、大きな効果が発揮されることが期待できます。そうした、いざというときに備え、今回の機会を通じて得られるよい関係性が、今後災害医療救護訓練の場などにおいても継続して生かされていくよう、市町村と共に取り組んでまいりたいと考えています。   (警察本部長熊坂隆君登壇) ◎警察本部長(熊坂隆君) まず、公務中における警察職員の交通事故を減少させる取組についてお尋ねがございました。 御指摘のあった公用車による交通事故件数は、警察職員が後方から一方的に追突された事故など過失割合がゼロの事故や、タイヤが道路の縁石に接触した事故など、具体的な損害が生じていない事故なども含まれており、賠償責任が生じた事故は例年20件程度となっているところでございます。しかしながら、交通事故が犯人追跡中や現場臨場の際に発生すると、治安の確保にも大きな影響を与えるほか、交通事故の発生そのものが県民からの信頼を失うおそれがあるということも認識しているところであります。 県警察では、こうした事故を防止するために、冒頭申し上げたように大きな事故に至らない事案についても本部長まで報告をさせており、組織的にチェックをし、安全運転への注意が散漫にならないようにするとともに、ふだんから交通事故防止に向けた教育を各警察署等において繰り返し実施しているところでございます。 次に、公務中における警察職員の交通違反の発生状況と防止の取組についてお尋ねがございました。 公務中の交通違反につきましては、年間7件程度発生しているところでございます。交通ルールに反する行為は、場合によっては交通事故に結びつくものであり、これを減らしていくことは重要なことであると考えております。一方で、不慣れな土地における標識を見落とすなど、交通違反の多くは過失によるうっかりから生じるものでございます。職員も人間である以上、これをゼロにするということは困難であるというふうに認識しているところでございます。 警察職員に対して、このような過失による違反を減少させるべく、安全運転に関する教育を繰り返し実施しているほか、私的な交通違反であっても、職員が日常運転していると考えられる場所における、交通規制を熟知していると思われるような場所における交通違反については、厳しく指導をしているところでございます。 県警察においては、県民の信頼に応えるためにも、警察職員による交通事故、交通違反ともに可能な限り減少させていく必要性を認識しており、今後とも職員に対する効果的な指導を繰り返し実施してまいります。   (公安委員長小田切泰禎君登壇) ◎公安委員長(小田切泰禎君) 県警察の交通事故や交通違反の発生状況を踏まえた公安委員長としての認識と所見についてお尋ねがございました。 まず、交通事故に関してでありますが、警察の活動は、犯罪の捜査や交通の指導取締りをはじめ、街頭でのパトロール活動など、日常的に公用車両を使用する業務が多岐にわたり、また県民からの110番通報を受けて現場に急行するほか、犯罪性のある逃走車両を追跡するなど、緊急走行を要するケースも多くあります。緊急走行においては、いち早く現場に向かうことと、安全に走行することの二面性を持ち合わせていることから、交通事故発生の危険性が高くなっているものと認識をしています。 このため、事故防止のための運転技術の向上は不可欠であり、県警察としましても、車両を使用した実践的な運転訓練を中心に、継続的な指導・教養を行っているところであります。 警察職員による公務中の交通事故や交通違反が一定数発生していることについては、本部長から答弁があったとおりですが、警察職員に求められる現場への緊急走行や交通違反の取締り等への対応を考えますと、これらの発生をゼロにするのは難しいものの、できる限り少なくする取組が必要であると認識をしています。 こうしたことから、公安委員会としましても、県警察が実施する職員への交通安全の指導について実効性が上がるように、定例会議等の場において協議、確認をするなど、県警察と共に対応することで、県民の信頼を損なうことがないように努めてまいります。 ◆7番(田中徹君) それぞれに丁寧に、また思いの籠もった御答弁をいただきました。ありがとうございました。あともう少し加えて2問をさせていただきたいと思います。 まず、先ほど警察本部長から、交通事故、また交通違反についての御答弁をいただきましたけれども、交通事故等ですよね、実際に年齢であったり、またその所属先であったり、業務の内容であったり、しっかり分析をした上で、その傾向をつかみながら対策をやっていくことが、減少させていくためには必要ではないかなというふうに感じております。しっかりそこの対策として、まず検証がなされているのかどうかということも含めて、警察本部長にお伺いをさせていただきたいと思います。 そして、eスポーツについてですけれども、今後eスポーツ、高知県にどう普及するかということであります。先ほどは、全然話は違いますけれども、産業振興部長からすごく県庁の職員の皆さんの率先した活動のテークアウトのお話がありました。私としては、例えばですけれども、県庁の職員さんに募集して、eスポーツの県庁チームをつくってはどうかというふうなことも考えております。この県庁内でチームをつくってはどうかということに対して知事の御所見をお伺いしたいと思います。 ◎警察本部長(熊坂隆君) 田中議員の再質問にお答えいたします。 事故等の分析等についての御質問でございますけれども、年齢等、所属等による分析というのはしておりません。ただ、事故の形態から見て同種の事案を起こすようなもの、例えば地域のパトカーが事故を起こした場合には、それはほかの所属でも起きるだろうということであれば、そういった事故を起こさないように、各所属のほうで指導を徹底するようにしているところでございます。 ◎知事(濱田省司君) 田中議員の再質問にお答えいたします。 県庁の中には、職員によりますスポーツのクラブとかサークルが10種類を超えるものがあるというふうにお聞きをしています。ソフトボールとか野球、釣り、ボウリングというようなことでございまして、そういったクラブには共済組合からの活動費の支援というようなこともあるというふうに聞いております。私自身は、どの職員がeスポーツに詳しいかというのは今つまびらかにしませんけれども、議員からそういうお話もお聞きしましたんで、もしそういうことであれば、業務命令という話ではありませんけれども、そういったことを考えるのも面白いのではないかと思いますから、しかるべき方法で声をかけてみたいというふうに思います。 ◆7番(田中徹君) 非常に前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。 知事、こんなときです。もちろん時と場合をわきまえることも必要でありますけれども、時には気楽に職員の皆さんと一緒に笑ったり冗談を言いながら、気を抜くことも必要ではないかというふうに感じております。高知を元気にするために、みんなで力を合わせて明るく前を向いていきたいと思います。 今年度3月をもって退職される岩城副知事をはじめ多くの職員の皆様方に心からの御礼を申し上げまして、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。   午前11時25分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 20番森田英二君。   (20番森田英二君登壇) ◆20番(森田英二君) 議長のお許しをいただきましたので、順次質問に入ります。 まず初めに、昨年2月以降のコロナ禍の中で、昼夜も問わず医療現場の最前線で奮闘してくださっています多くの皆様方に、心から感謝とお礼を申し上げます。 また、今も治療中の方々や、手当てのかいなく亡くなられた多くの方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。 あわせて、飲食業界や旅行・ホテル・旅館業界をはじめとする事業者の方々、そしてまた今回のコロナ禍によって、経済的に大変大きな打撃を受けておられる県民の皆様に対しましても、その御苦労と御奮闘に心から敬意を表します。 その上で、今後の対策につきましては、一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息に向けて、議会挙げて全力で取り組んでまいります。 知事は先日の所信の中で、本格始動だったはずの今年度が、コロナ禍で守りの一年になってしまった、しかし来年度からはデジタル化とグリーン化とグローバル化を軸に、攻めに転じるとおっしゃいました。我々は、そんな濱田県政を全力で支えていきます。新年度からはまた県政の好転、発展に共に頑張ってまいりましょう。 さて、これより質問に入るわけですが、これまで多くの議員の仲間から、新型コロナ感染症対策をはじめ、その他の県政課題につきまして、いろいろな切り口で御質問がありました。今日の午前中にも田中議員から南海トラフ地震の質問がありましたが、私からも本県の当面の重大かつ根幹的な県政課題であります南海トラフ地震対策のうち、津波に備えるという視点で順次お聞きをしてまいります。 悪夢のようなあの東日本大震災から、もうすぐ10年がたちます。10年前の3月11日は、2月定例会がちょうど開会中でありました。速報で知り、控室のテレビで見たその光景は、真っ黒な津波に次々とのまれていく家や農業用のハウス、そして目前に迫ってくる津波から逃れようと必死に走り回る人や車、そして堤防を横向きに乗り越えてくる操作の利かない漁船の様子などでございました。しかし、それはまさに東北地方で今起きている、想像を絶する現実の光景でありました。それを見ていると、いざ津波が来たそのときには、もう誰も何もできないということを思い知らされました。 あれから日がたち、我に返って思うことですが、あれと同じ光景がこの高知でも、あと5年、10年、15年のうちに必ず起きるということであります。大変失礼な言い方になるかも分かりませんが、テレビ中継でじかに見たあの光景に勝る教訓はありません。 知事は、あの事態にやがて遭遇する本県の最高責任者であります。知事は、あの映像をどのように見られ、感じられたのでしょうか。やがて来る南海トラフ地震に立ち向かう決意を、まず知事にお伺いいたします。 また、本県の将来にあの映像を重ねたとき、危機管理部長はあの光景から何を学ばれて、今後の取組への教訓とされたのでしょうか、お聞きいたします。 東日本大震災から10年がたちますが、連日のテレビ、新聞の報道によれば、10年たった今も、まだまだ復興途上の様子が伝えられています。東日本大震災では、直接死が約1万5,900人だったのに対し、その後の災害関連死は約3,800人に上ります。また、熊本地震では直接死が約50人だったのに対し、その後の災害関連死は約220人。そして、阪神・淡路大震災では直接死が約5,500人だったのに対し、災害関連死が約900人います。これらの数字からは、震災後の生活がいかにつらく、厳しい生活だったかということがうかがえます。私は、こうした災害関連死の方々の多くは、もし自宅が壊されていなかったら、あるいは津波でやられていなかったら、救えていた命だと思います。 長期にわたる避難生活や仮設住宅でのしんどい暮らしに加え、日頃生活していた隣近所がなくなったことも要因の一つでしょう。人って一人では生きていけません。先日見た震災関連のテレビ番組では、被災後の苛酷な避難生活にも注目をしていました。その番組によると、被災するまで全く健康だった人も、最初の避難所である体育館からホテル、そしてホテルから仮設住宅と続く避難生活で、ストレスをため眠れない日が続き、次第に体調を崩していったということでありました。 東日本大震災のあの現実や、その後の映像から私たちは多くのことを学びました。それは、一旦津波が襲ってしまったら、地域はもう元の姿には戻らないということです。その教訓として、平時の今こそ、考えられる全ての対策をとことん事前にやっておくことが、最大の防御だと改めて知りました。 つまり、自分が長年住み慣れた家を失ったことが、全ての不幸の始まりになると思いました。家を失った結果、心が弱り、体が病み、災害関連死に行き着きます。ですから、災害関連死の最大の防御とは、住み慣れた自分の家を絶対に失わないことに尽きると思います。家を失う前の今、もう一度この基本を考え、かなり遅い対策にはなったけれども、家を失わないことに個人も行政も、それぞれに今万全の対策を取るべきだと考えます。 例えば、自分の意思で津波が来ないところに転居をする、あるいは行政からも転居を積極的に仕向ける、あるいはまた行政が公営住宅を今からでも次々と用意をして、そこに移り住んでもらう、行政は全力でその方向に努力をし、そして最大限の支援もする、それに尽きると私は思います。 しかし、今だから言えることかもしれませんが、2008年の高知県南海地震による災害に強い地域社会づくり条例にしても、2009年に制定されて何度か改定を繰り返してきた南海地震対策行動計画にしても、津波に関しては家はなくなってしまうことを前提に、早期避難ばかりに意識がいっていたように思います。防災の基本中の基本である津波に襲われる場所には住まない、つまり家を失わないように暮らすという大原則が少しぼやけてしまっていたのではないかと思います。 命を救う応急の対策として、津波からの逃げ場所のない平地には避難タワーが、裏山があるところには避難場所がその裏山に、ほぼ出来上がりました。そして、家やビルの耐震補強も順調に進んでいます。避難経路にあるブロック塀の補強対策などを除けば、すぐに命に関わる当座の緊急対策は、ほぼ仕上がりつつあります。とすれば、ここらでやっぱり防災の基本に立ち返り、残された時間を有効に使って、津波が襲うところには住まない対策に真剣に、そして早急に取り組むべきだと思いますが、どうでしょう。 喫緊の命対策が一区切りついた今、ここらでしっかり基本を見据えて、津波が襲う場所には県民を住まわせないという抜本対策に立ち返り、そこを再検討すべきではないかと思いますが、どうでしょう。県民の命と同じぐらい大切な家を津波で失わせないこと、今ならまだ、あと少しだけ時間があります。知事に御所見をお伺いいたします。 東日本大震災の翌年、平成24年8月に内閣府は、次の南海トラフ地震では全国で最大32万3,000人が死亡するという想定を発表しました。高知県でも4万2,000人が死亡するという、この衝撃的な想定の数字に県下には激震が走りました。しかし、このことで本県の本格的な地震・津波対策が一気に加速したようにも思います。今から8年半前のことです。 その後、国の支援などもあって、あっという間に114基の避難タワー、そして1,445か所の避難場所を完成させるなど、対策が大きく進みました。家の耐震補強などを含め、命を救う対策はひとまず大きく前進しました。このように逃げる準備はほぼ整いましたが、今なお非常に多くの人が津波の浸水想定区域内に暮らしています。このままだと、命は助かっても、その次に大きな家財産の全てを失うことにもなり、災害関連死に向かうことにもなります。この膠着状態をどう解決するのか。とにかく浸水想定区域内には暮らさないという防災の大原則を、今真剣に考えることです。 この壮大な難問題を少しずつでも解決に向かわせるためには、この課題の解決策に優先順位をつけてそれを明らかにすることで、県民にも協力をしてもらわなければなりません。そうした課題と手順を当事者である県民と共有することで、残されたこの超難題に、議会も連携して取り組んでいきたいと思います。この課題は、県民を広く巻き込んでいかないと解決はできません。 浸水想定区域内には暮らさないという、この大きな大きな課題の解決に向けて、これからどう前に進めていくのか、危機管理部長にお聞きいたします。 先日も東北地方で再び震度6強という大きな揺れがありました。そこで、私は10年前の震災で知り合いになっている宮城県亘理町の方と岩手県大船渡市の方に、地震見舞いの電話をしました。この2人はさきの津波で自宅を流され、今は高台に自宅を構えて移り住んでいます。そのときの話ですが、2人とも揺れはひどかったけれども、今の自宅は高台にあり、津波の心配がないことから、落ち着いて行動が取れたと話されました。高台生活の絶大な信用が、この経験者の話からも裏づけられたのであります。 その話を聞いていて、高知新聞の8年前の高台移転の特集記事のことを私は思い出しました。その記事とは、土佐清水市郊外の小4と高1の子供が語ったこんな話でした。市の中心部の高台に引っ越せたらいいなあ、津波怖くないし、友達もたくさんいるしというものです。子供たちの両親は2人の気持ちを十分理解しながらも、今の低地で暮らしを続けるしか手はなく、子供たちへの返事も、お金も要るんで、すっとはいかん、宝くじが当たったらねと言ったというものでした。 この小学生が住んでいる土地は、過去の歴史の中で何度も亡所を繰り返している土地だと記事の中には書いてありました。行政は、将来ある子供たちのこうしたか細い声にも、もっと真剣に耳を傾けて、安全対策に取り組んであげてほしいと、その記事を読んで改めて心からそう思いました。 そこで、思ったことですが、土佐清水市には、年のうちめったにしか使われないと思われる高台の広大な敷地が、既に別事業で市街地のすぐ裏山に整備されて出来上がっています。一方、そのグラウンドのすぐ隣接したところには、別の高台が整備され、学校をはじめとした公共の施設が建ち始め、個人分譲用の土地も整備されていました。でもその戸建ての用地は高級感がありました。 あのすぐ隣の、めったに使われない広大な広場に、市営の高層住宅や事前復興の住宅などを今すぐ建てて、安価に入居できるように整備してあげたら、一般市民はどれほど喜ぶことでしょう。今なら、地域ごとごっそりそのまま、そっくり無傷で高台に移せます。高台に引っ越した後の下の宅地は、整地をして多目的グラウンドに使えばいいんです。寝るのは上の高台、海沿いの低い土地は仕事場とグラウンド、東北の入り江でも今はこうした使い方が常識となっています。 これを8年前のこの議会で私は提案しました。すると、知事のお答えは、国費が当たって、いわゆる別事業で既に出来上がっている土地を、用途外に換地することは非常にハードルが高い、でも命を救える広大な土地が今すぐにあり、そこを使えるとすれば、そしてもう時間がないことを考えると、それは取り組む価値のある大変いい提案だと言ってはくれましたが、既に8年がたちました。 私の見た限りでも、県内の海沿いのあちこちの少し高台の安全な場所に、引っ越しに適当な出来合いの用地は見当たります。ところが、高台移転適地として条件のそろったそうした出来合いの土地は、同じく国の補助事業で出来上がっているものや、民間の事業倉庫などといった用地であります。厳しい交渉が想定されます。こうした適地探しは市町村で行い、そして用地の交渉は県も一緒になって前に出る。とにかく急いで出来合いの土地を探すなどして用地を取得する。そして、それに続けて高台移転にもっと必死になって取り組まなければなりません。 集団移転は、ほかの方法に比べて非常に効率のよい津波対策ですから、家財産を全部失ってしまってからでは絶対に遅いんです。もう時間があまりありません。ですから、急がないと間に合いません。 つい3日ほど前にも、地元新聞の「声 ひろば」欄に、海沿いの保育園の園児の母親から土佐市長宛てに、保育園の高台への移転は一体いつになるんですかと、悲痛な母親の願いが掲載されていました。浸水想定区域内にある海沿いの集落ですから、このような声が出るのも当然です。また、そんな危ない保育園に大切な赤ちゃんを預けているのですから、お母さんは必死です。 ですから、県は市町村と共に、一歩も二歩も前に出てあげて、高台適地の交渉をするなど、集団での高台移転に向けて、少ない軒数ずつでもいいから、早急に取りかかるべきだと私は思うんですが、このような考え方や取組について知事の御所見をお聞きいたします。 次は、海沿い集落の人たちの避難場所のことでお聞きいたします。高台への移転や浸水区域外への移住が、津波の襲来までに間に合わなかった地区の住民は、突然の激しい揺れとともに、着のみ着のままの姿で山の斜面につくられた避難場所に向けて、一目散に駆け上がることになります。雨宿りをする建物など何ひとつない山の斜面で、真っ暗な冬の寒い日、冷たい雨も降っている中、そこで約半日を過ごします。その後、津波が引いたのを確認して下に下ります。さっきまで寝ていた家はもうそこにはありません。東北の津波被災地の、あの日のことを思い出してみてください。一瞬にして、誠にむごたらしい姿になりました。今度は高知県の沿岸部があのようになります。 卑近な例を出して申し訳ないのですが、私の住んでいる土佐市の新居という集落の約1,500人と、隣の宇佐町という集落の約4,500人は、L2規模の津波で全員が家を失います。宇佐と新居にも小学校や中学校、そして海洋高校などもあり、それぞれに校舎や体育館もありますが、L2津波が来れば全てが流失するか大きく浸水します。ですので、津波が襲った後で山から下りてきたとしても、入れる建物はただの一軒もありません。6,000人全員が行き場を失います。周囲は多分瓦礫の山です。道はもちろん、歩く場所さえなくなっていると考えておかなければなりません。しかし、現在の山の斜面の避難場所には、疲れ切ったお年寄りの人たちが横になる場所どころか、足場も悪くて、お腰を下ろすところさえありません。もちろん建物などは一切ありません。 その斜面で、雨の降る寒い中、そこで木につかまって半日、避難訓練のたびに、お年寄りには階段がきつ過ぎて、半分以上の人が最後まで上れていません。また、お風呂や食事は我慢しても、たちまちトイレに困ります。少しぐらいの備蓄はあるにしても、6,000人となるとパニックです。また、Wi-Fiなどの通信環境がないと、そんな避難場所から災害対策本部に対して、救援のお願いや避難場所の情報などの連絡が取り合えませんので、その避難場所は陸の孤島ということになります。 その上、新居の高齢化率は43%、宇佐は47%です。避難者の大半が高齢者です。一方、県では今、市町村を越えた広域避難計画を考えてくれているようです。でも、その前にこうした貧相な避難場所のこともしっかり見直してくれないと、避難所に行く前に、また広域避難をする前に、多くの人が死にそうです。言えば、今の避難場所は、あのとき慌てて、逃げ場所対策として取り急ぎ整備をしたもののように思えてなりません。せっかく助かった命ですが、座るところさえない斜面の避難場所では、命のもたせようもありません。 もう一度、山の避難場所については、そこを使う人の目線で再点検をしていただければと感じています。そのときには地区民の声も直接聞きながら、現地も見て、避難スペースなどの適正整備に、もう一段の取組を進めてもらいたいと思うのですが、危機管理部長にお伺いします。 次は、被災後に生活を始める仮設住宅についてお聞きいたします。仮設住宅は、津波で家を失った人たちのために、被災後しばらくしてから建て始められるという印象があります。体育館などの緊急的な避難所の次がここになるわけです。不便で不自由で、プライバシーもない緊急的な避難場所の体育館などからすれば、仮設住宅とはいえ、そこは天国と言えます。ですから、私はいつもテレビで見るたびに、一刻も早い仮設住宅への住み替えを急いであげてほしいなと祈る気分です。 そんな仮設住宅を早く建設してあげたいと頑張る行政の取組も伝わってきています。完成すれば、仮設とはいえプライバシーも守られることで、まずは心の平安を取り戻せます。そうした不自由な避難所暮らしの時間をできるだけ短くするために、平時の今から備蓄への取組も始めてくれていると聞いています。 ところで、備蓄にはどのようなものが含まれているんでしょうか。仮設住宅の建物資材のほかに、電気やガスや水道などの設備機器も含まれているんでしょうか。仮設住宅を建てるための用地は、どこまで想定して準備をされているんでしょうか。また、そうした資材は、県下のどこに用意をされるんでしょうか。資材置場が遠過ぎれば、被災後の道路事情を考えると、想定どおりの対応ができるのかも心配です。また、県下一円に広く被害が出ることを考えると、仮設住宅を建てる時点で、大工さんなどのマンパワーが確保できるかどうかも心配です。こうして考えていると、資材は備蓄したものの、被災後に建てる仮設住宅って、絵に描いた餅に終わるんではないかと不安が堂々巡りをします。 そこで、土木部長に、速やかに仮設住宅を提供するための供給計画と、それに基づいた現在の取組状況についてお聞きいたします。 さて、次はいわゆる宏観異常現象とよく言われる、地震の前に起こるいろいろな出来事について考えてみたいと思います。まずは、その兆しをいち早く察知できれば、やがて起こるであろう地震に対して、危険な場所から一時避難をするなど身構えることもできるし、被害を相当小さくすることもできると思います。命に関わるような大災害には、できれば誰も遭いたくはありません。しかしながら、高知県に住む限り、先人の世から100年ないし150年に一度の割で大地震がずっと繰り返されてきています。そして、先人たちがそのたびに後進の私たちに向けて様々な教訓を残してくれています。 また、本県以外の地にも、こうした大規模な地震の発生前に、日頃は見えない、聞かない異常な出来事が起こっているようであります。そうした異様な出来事に真摯に向き合い、調べることで、災害から身を守ろうと研究している科学者や大学教授も数多くおられます。 科学的にはまだ解明はされてはいませんけれども、起きた事象は全てが事実であることは間違いなく、捏造などではないことは言うまでもありません。技術のほうが追いついていないのだと、86年前に亡くなった物理学者、寺田寅彦博士もこのように言葉を残しています。確かに、今はまだ地震の予知はできないとされています。しかし、これまでの数々の予兆現象を詳しく研究し解析をすることで、信じた者は救われたといった現象が起こるのではないかと私は思っています。 そこで、こうした思いを持った私たち有志は、地震学会の会員でもあり「南海地震は予知できる」の著者でもある中村不二夫氏を会長に、南海トラフ地震直前予知連絡会というNPO法人を立ち上げて活動をしています。個人の会費と僅かな寄附、そして海面水位の不規則変動を調査するために、県から漁港岸壁の使用許可をいただくなどの協力をもらって、異変の観測を地道に続けているんです。また一方では、これまで実際に起こってきた地震直前の異変や出来事、さらには先人の教訓などを広く県民に知らしめることで、減災に貢献したいと考えて活動を続けています。 ではそこで、これまでどんな異常なことが大地震前に起こってきていたのか、あるいは言い伝えがあるのかなど、並びは不同ではありますが、ほんの少し一部をお聞かせしたいと思います。 まず初めに、東北地方の河北新報という新聞に載っていた記事で、東日本大震災の前日の異変をお話しします。3月10日、宮城県気仙沼市のある地区の69歳の住民が、激しい海鳴りの音とけたたましいキジの鳴き声を2回ずつ聞いていた。地区では、経験的に海鳴りの音の後にキジが鳴くのは地震の予兆とされていた。朝7時半と10時半に激しい海鳴りの音とキジの鳴き声を聞いたので、身構えていたが、その日は何事も起きなかった。2回ともすごい音と鳴き声で、近所でもこんなことは初めてだと話題になったものの、その日は地震は起こらなかった。でも、その翌日あの大地震が起きたということであります。 この海鳴りとキジの過去例は、地域の古い文献にも共通していて、地震の前兆現象として度々登場してきています。海鳴りに限らず、地鳴りや爆発音、大砲音などという言い方で、地震発生前に起きた音の現象が昔から数多く記録として全国に残っています。阪神・淡路大震災の前にも、神戸市内では謎の爆発音が多くとどろいていたという報告もあります。 また、平成21年の静岡駿河湾地震でも、地震発生の1週間前から相模湾で大砲のような音を聞いたという話もありますし、関東大震災の前には、何か月も前から大砲音を聞いたという文献もありました。同時に、100日前からは動物の異常行動も目立っていたといいます。2万2,000人以上の人が亡くなった明治29年6月の明治三陸地震津波の前にも、海鳴りの報告は地元新聞に度々取り上げられています。 また、キジの鳴き声については、数多くの文献に地震との因果関係が記されていて、危機を知らせる鳥として考えたほうがよいとあります。それは、明治初期の1874年、長野善光寺地震の貴重な前兆記録にも残っていました。地震の数日前から付近で数多くのキジが昼夜けたたましく鳴き続け、うるさくて眠れず困り果てて、何か起きるんではないかと言い始めた矢先、地震が起きたということです。その地震での死者は1万人でした。キジはめったに鳴かない鳥だということですので、これも異様な行動として役立つ情報と言えます。 100日前ぐらいから動物の異常行動が表れ、そして30日ぐらい前からは海や川で魚の異常行動が表れ、数時間前からは土地があちこちで傾き始め、箱根などでは温泉が濁ったということです。そうです、これはあの関東大震災の直前の前触れでした。こうした情報を取りまとめたのは、日本大学で地震の予知研究をしている力武常次教授です。当時の旧制中学や女学校に通っていた900人余りから調べ上げた有効な情報だということであります。 また、関東大震災などの大地震の前に異臭がしたという記録も枚挙にいとまがありません。また、私の聞き取り調査でも昨年末、宇佐の井尻地区の入り江で65歳ぐらいの男性が、昭和21年の昭和南海地震直前のことについて、もう亡くなった母が、地震の前にこの入り江から変な臭いがよくしていたとしきりに言っていたという話を教えてくれました。ほかにもまだまだ今の科学では解明できない異常現象が、大地震の前の前兆として全国に多くあります。 現在、県では県民から通報のあった各種の異常現象をホームページで紹介しています。このことについても、もう少し積極的に向き合い、その情報を掘り下げるようにすれば、価値ある情報につながるかもしれません。 そこで、県は情報を単にもらうだけでなく、詳細を聞き取るなど、情報の信頼度を上げるために、追跡などをされてはどうでしょうか。今後の県の取組について危機管理部長にお聞きします。 平成24年の私の予算委員会質問や、平成29年12月の下村議員の定例会の質問でも、県からは宏観異常現象情報の活用について、前向きの答弁をいただいております。そのときには、こうした情報があれば広く県民にお伝えしていきたいし、周知や公表の方法も工夫していきたいと、当時の危機管理部長が答弁をされています。そこまでの思いが県にあるのであれば、もう少し力を入れてもらって能動的に活動してほしいと願っています。 例えば、こうした情報を積極的に提供してくれる意思のある人を、県下一円で掘り起こして配置し、もっと県下広く、そして多角的な情報も収集したいものであります。一例として、海面の変調や魚の異常行動、あるいは海水の流れや濁り、そして海水の異臭などの情報は、漁協を通して漁師の方に協力をしてもらうんです。また、酪農家の人には乳牛の搾乳量に変化がないか、ひづめのある動物は、特に地面の振動には敏感なんです。私が全国の動物園の飼育担当から聞き取った話の中でも、地震前にキリンが走り回ったとか興味ある反応も随分ありました。養鶏農家の人には、鶏の産卵量に変化はないかなどなど、県から県民に対して積極的に情報の提供をお願いしてください。 そこで、県民の命を大きく救うことになるかもしれないこういった地震予知の貴重な情報を積極的に収集し、分析をすることについて危機管理部長に再び所見を求めます。 先ほど紹介させていただきました「南海地震は予知できる」によれば、地震の直前10日から1週間ぐらい前には、海面水位の急激な変動や海水の流れ、さらには異常な豊漁、海水の濁りや悪臭の発生、また海底の変動など、海岸部ではとても顕著な海洋の異変が起きていることが明らかになっています。 そこで、県下の沿岸の急激な潮位変化の察知には、県主導でカメラを設置して、水位の自動監視をされてみてはどうでしょうか。もちろん既に設置されている国や県所有の潮位計も活用しますし、さらに追加して県下の漁港などに水位計を追加で整備をします。そして、モニターカメラも併せて設置することで、異常潮位を遠隔で監視、観測できるようにして、もし異常が起これば警告音も鳴るようにします。 御提案として、こうした一連の機器の設置と計測、解析を民間に委託して予兆を監視するのはどうでしょう。これも危機管理部長にお聞きいたします。 さてそこで、過去の事例や伝承を基に、いつ頃どのような場所で地震の予兆となる現象が起きてきたのか、もっと詳しく調べてみる価値があると私は思います。皆さん、孕のジャンというのを御存じでしょうか。さきに話しました海鳴りと同じ現象だと私は思うんですが、高知新聞社発行の山田一郎著「南風帖」には、寺田寅彦博士も交えた随筆の中で、孕のジャンがどこでどのように地鳴りの音を発しているのかなども詳しく記されています。 私は、45年ぐらい前に、以前勤めていた会社で浦戸湾によく釣りに行っていた上司から、湾内でジャンが鳴ったらすんぐに津波が来るき、陸に上がらないかんという話を聞かされていました。昭和10年に亡くなった寺田博士は、その本の中で、この不可思議な問題を説明できるものとして、地質学者として地殻のひずみを上げ、地球表層岩石の内部で小規模な地滑りを起こして地鳴りという現象を生じているのだろう。寺田博士は今から100年ほど前に、今後数十年のうちにはまた南海地震が起こり、その前後にはこの孕のジャンが再び鳴るだろうとの予言を書き残してくれていました。その後、昭和21年12月21日には昭和南海地震が起こり、その際にも孕のジャンは鳴っています。 地元学者の研究や警告、これに類する資料などもたくさん存在します。ここまでるる述べてきたことを全部実行したとしても、たかだか知れた経費しかかかりません。私は、過去の言い伝えや先人が残してくれた教訓などを今こそ活用して、今後に備えるべきだと考えていますが、今後の取組について危機管理部長に再びお聞きをいたします。そしてまた、今後こうした異常現象が数多く報告された場合に、予知情報としてどのように活用するのかも併せてお聞きをしておきます。 あまりにも有名なこの警句、「天災は忘れた頃にやってくる」を最初に唱えた人は寺田寅彦博士であります。災害に備えたこうした警句は、南海地震を繰り返し受けてきた本県には、碑文や言い伝えの中に数多く残っています。碑文には、地震の経過や津波の到達点を書き留めたもの、そして犠牲者を悼む文言などが生々しく刻まれ、今も神社などに多く残されています。前兆現象として港が干上がり、ウナギが幾らでも取れたというものや、本震の前に大雷鳴のような異様な音がとどろき、大地を震わしたという文字もあります。また、人々が、はいながらやっと家を出て、何とか山にたどり着き、命を取り留めた様子を詳述したものなどもあります。その上で、宝物が家に残っていても家に取りに帰ってはいけないと教えています。 今から1,150年前の平安時代に、宮城県の東松島市を襲った貞観地震の碑には、ここより下に住むなと後世の私たちに教えを残してくれています。ほかにも東北3県には津波石碑が300基あり、そのうちの198基には碑文が刻まれ、そのうちの約6割には津波の予兆や住み場所に関する教訓が彫られています。その多くは、地震があったら油断するな、地震があったら高いところに集まれ、津波に追われたら高所に上がれ、低いところに家を建てるななど、今もそのまま通用する教訓がいっぱいであります。もちろん本県にも沿岸を中心に、心して聞かないといけない数多くの金言があります。こうした値千金の言い伝えを今こそ感謝を持って受け取り、県民に広く知らしめるべきだと思います。 そこで、こうした数多くの言い伝えを今風のアニメで短編物として制作し、テレビの各局で毎日放映を繰り返し、県民への啓発に活用してはどうかと考えます。こうすることで、やがて来る巨大地震に対する意識をさらに植え付け、今度の津波には県民挙げて備えるんです。県では今「南海トラフ地震に備えちょき」という冊子を配布しています。また、NHKでは、南海地震一口メモを放送してくれています。 そこで、私の提案はもっとビジュアルに、まんが王国・土佐ならではの漫画風のアニメで、短編物を数多く制作してはどうでしょうか。それを毎日毎日放映して啓発に活用するんです。「まんが日本昔ばなし」などをイメージしています。知事に御賛同いただき、高知の漫画文化をうまく活用して、巨大津波への啓発を行ってほしいと願うものですが、ここは知事に御所見を賜ります。 先日の知事の提案説明の中でも、また昨年9月の地域福祉部長の私への答弁の中でも、親世代と同居、近居する世帯に対し、本県でも新しく支援を開始する旨の所信が表明をされていました。大変喜ばしい御提案であります。この施策は必ずや、これからの長い時間の中で、少子化の解消や学力の向上、そして若い人たちへの安心生活の後押し、果ては高齢者の幸せ生活にまで広く貢献をしていく施策だと私は信じています。とてもよい施策を御決断されたと、心から喜んでいます。 この施策で出生率も上がり、人口減少に歯止めもきっとかかって、いい傾向が続くことだろうと思います。県勢の活性化は、やはり県人口が全ての大本です。ここで言う県勢の勢は勢いであることは言うまでもありません。知事の所信にもありましたとおり、この施策を使って少子化対策の一層の充実強化に取り組んでいきましょう。 私はこの施策、他県に遅れたスタートであることを考えると、新婚世帯に限らない制度の運用を望むものですが、今後の具体的な取組について地域福祉部長にお聞きいたします。 最後に、岩城副知事が今年度末をもって副知事職を辞する覚悟だとお伺いをいたしました。9年3か月間という超長期の副知事在職でありました。産業振興推進部長時代から本県の成長期に手腕を振るわれた御貢献とその御功績は計り知れず、余人をもってなせることではありません。その分、やりがいもあったでしょうし、御苦労も多かったことであろうとお察し申し上げます。 一昨日のことです。県庁を卒業していった元庁議メンバーからこんなラインが私に入りました。尾崎知事の頃、知事の逆鱗に触れて激しく怒られた後副知事は自分の部屋に私を呼んでくれて、後は俺に任せろと引き取ってもらったこと、多くの部局長がそんな体験を持っています。みんな感謝しています。その分は議場で褒めてやってくださいと書かれていました。ここでお伝えをしておきます。 そんな優しくて頼れる岩城さん、副知事職を9年余り、そして県庁に46年、今去来する県庁時代の思い出は山ほどあろうと思います。そんな思い出や、これからの県政への期待などがありましたら、副知事からぜひお聞かせいただきたいと思います。 緊張の第一線での長い長いお勤め、本当にありがとうございましたし、大変お疲れさまでございました。心からお礼を申し上げます。そしてまた、これからも一層御健勝で過ごされて、県政へのアドバイスやエールなどもよろしくお願いを申し上げます。 これで1問を終わります。   (知事濱田省司君登壇)
    ◎知事(濱田省司君) 森田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、南海トラフ地震に立ち向かう決意はどうかというお尋ねがございました。 東日本大震災が発生した際、私は消防庁で予防課長として勤務をしておりました。発災の直後から消防庁内の危機管理センターに泊まり込みで災害対策の指揮を取りまして、全国の救急部隊を福島県に動員いたしまして、被災された方々を搬送するオペレーションに当たっておりました。センターのモニターで見ました繰り返し押し寄せる津波、それによる火災、津波が引いた後の跡形もなく流されてしまった市街地の惨状、これらはとても現実とは思えない光景で、今でも鮮明に覚えているところであります。 東日本大震災では、甚大な津波被害などによりまして、東北地方を中心に2万2,000人余りの死者、行方不明者が発生するという未曽有の災害となりました。発生から間もなく10年がたとうとしておりますけれども、あの災害により多くの貴い命が失われましたこと、そして今なお被災地では多くの方が苦しまれているということを、私たちは決して忘れてはなりません。 令和元年12月に本県の知事に就任させていただいて以来、東日本大震災の教訓や、当時副知事として対応いたしました大阪北部地震での私自身の経験も生かしながら、県民の皆様の命と暮らしを何としても守るという強い決意で地震対策に取り組んでまいりました。 本県では、この10年間の取組により、様々な対策が着実に進んできておるのは議員からも御紹介があったとおりであります。しかしながら、依然として多くの課題がございます。引き続き、スピード感を持って取組を進めていく必要があります。今後も、想定死者数を限りなくゼロに近づけていくということに加えまして、速やかな復旧・復興を可能とするように、全庁を挙げて全力を挙げてこの南海トラフ地震対策を推進してまいります。 次に、津波が襲うところには住まわせない対策についてお尋ねがございました。 住宅を被災前に高台に移転をし、津波の来ないエリアにお住まいいただくということによりまして、1つには命だけでなく財産を守ることもできます。2つには避難者を減少させることもできます。また、3つには復興に要する住民や行政の負担の軽減につながります。また、そして何よりも住民の皆様に安心して暮らしていただけるということになります。こうしたことから、こうした取組は非常に重要な意味を持つというふうに考えております。 一方で、過日、坂本議員にもお答えいたしましたように、被災前に住宅の高台移転を行うためには、この国の制度に大変課題が多いということがございます。住民合意が必要だ、また住民負担が大変多額に上ると、こういったことの課題がございます。そういったことから、被災前の事業の活用が全国的に進んでいない状況があるということでございます。 そのため、県といたしましては国に対しまして、こうした高台移転に関わります新たな制度の創設などについて要望、提言をいたしているところでございます。こうした制度を踏まえて、地域におきまして被災前に高台へ移転したいと機運が高まってきた場合には、県といたしましても具体的な支援についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。 次に、既存の適地を活用した集団の高台移転に関しましてお尋ねがございました。 高台移転をする上で公共用地を活用する場合には、用地取得の必要がございませんし、また一定の整備が既にされているということはございますので、造成工事の期間を大幅に短縮できるといった大きなメリットがあるというふうに考えております。一方で、例えば都市公園と既にされている地区を活用するということになりますと、国の補助金の返還、代替地の確保、用途変更などの手続が必要になりまして、ハードルが高くなるという側面がございます。 一方、民有地を活用する場合には、造成工事の期間を短縮できるという面ではメリットがありますけれども、進入路などのインフラ整備が新たに必要となるといったこと、用地取得が必要となるといった、こちらについてもやはりハードルもあるということでございます。 そして、その用地をいずれの場合に求めるといたしましても、先ほど申し上げましたように、国の高台移転の制度、集団移転の制度を活用する上で住民負担の問題など、これも多くの課題があるということでございます。 そうしたことにつきましては、制度面の改善を図っていくという努力も必要でありますが、まずは各市町村におきまして事前の復興まちづくりの計画を策定していただくというのが、片方の手順としてぜひとも必要だと考えております。このために検討会も設けまして、県としての指針を策定し、市町村にこのまちづくりの計画を策定いただく、そして住民の皆さんのコンセンサスをでき得る限り早期に形成をしていただくということを意図しているところでございます。 そうした事前復興まちづくりの計画を策定した上で、地域におきましてこの計画のコンセンサスの下に、被災前に高台に移転したいという機運が高まってきた段階で、この実際の取組に進んでいく、またそれと相まって、ただいま申し上げましたような国の制度に代わります改善が求められるというような段取りになるものと考えております。 最後に、高知の漫画文化を活用した啓発につきましてお尋ねがございました。 本県におきましては、地震の発生から避難所での生活、仮設住宅への入居までを被災者の視点で描きました地震啓発用のドラマ「その日、その時・・・」を平成28年度に制作をいたしまして、ホームページなどにより公開をいたしております。このドラマは、現在ユーチューブで約400万回再生をされておりますほか、県内外からDVDの貸出しの希望もあるといったことで、大変多くの方に御覧をいただいております。こうしたことから、県民の皆様に取り組んでいただきたいことを動画でストーリー形式でお伝えしていくということは、非常に効果的な取組であるというふうに考えております。 こうしたことから、昨年度から津波からの早期避難あるいは水、食料の備蓄の必要性などにつきまして分かりやすく説明をしましたショートアニメを制作いたしまして、これをラインを使って配信するといった形で、若年層を中心とする啓発にも取り組んでいるところでございます。 さらに、幅広い年代を対象に啓発を行っていくというためには、テレビアニメも有効だと考えておりますが、特にテレビアニメということになりますと、多額の費用を要するということが課題になりまして、費用対効果の問題というのをクリアしていく必要があるというふうに考えております。 こうした状況でございますので、まずはこれまでに制作したアニメを各種イベントなどで活用して啓発効果をはかっていくということ、あわせて来年度実施いたします県民意識調査などにおきまして、アニメによる啓発の県民ニーズなどもまずは把握をしてまいりたいと思います。その上で、御提案のありましたまんが王国・土佐の取組、こういったものとのタイアップの可能性も含めまして、アニメーションの制作などについて検討してまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (危機管理部長堀田幸雄君登壇) ◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、東日本大震災からの学びと教訓についてお尋ねがございました。 東日本大震災の発生時、私は道路課の課長補佐として、自分の机で執務をしていました。東北地方で大きな地震が起きたことを速報で知り、その後テレビに映し出される津波の映像に、これは現実のことだろうかと大きな衝撃を受けたことを覚えています。 約1年後、国から黒潮町における海岸線での津波高が全国最大の34メートルになることが示され、その直後から課長として南海トラフ地震対策に取り組んできました。その際、まず念頭に置いたことは、想定される最大クラスの津波にもしっかり向き合わなければならないということ、そして津波という圧倒的な自然の力から県民の皆様の命を守るためには、できることは何でもしなければならないということでした。 それを踏まえまして、地震・津波対策に抜け落ちがないように、多岐にわたる被害シナリオを想定し、それに対する対策を考えること、地震対策は県だけで取り組むことはできないため、市町村や県民の皆様に行っていただく対策も県が主導的に取り組むこと、こうした視点から行動計画を取りまとめ、命を守り、助かった命をつなぎ、生活を立ち上げる対策に取り組んできました。今後も、地震対策を進めていく上では、こうした視点を大切にして取り組む必要があると考えています。 次に、浸水想定区域内には暮らさないという課題についてお尋ねがございました。 先ほど知事からもお答えしましたように、住宅を被災前に高台へ移転しておくことは、住民の皆様の命と財産を守ることができるなど、非常に重要な取組であると考えております。このため、まずは市町村に事前復興まちづくり計画の策定に取り組んでいただくこととしています。 県としましては、来年度中には市町村が計画づくりを進めるための指針を策定することとしており、その後、沿岸19市町村の皆様との勉強会などを通じて、計画の必要性などについて認識を深めていただくこととしています。 今後、実際に市町村に計画を策定していただく中で、高台移転の必要性の認識が高まり、被災前の移転についても考えてみようという地域も出てくるのではないかと思います。市町村が事前復興まちづくり計画の策定に取り組むことが、被災前の高台移転の機運を高めるきっかけとなることを期待しています。 次に、避難スペースなどの適正整備についてお尋ねがございました。 避難場所において避難者が体調を崩すことなく一定時間滞在できるようにしておくこと、また外部との連絡手段を確保しておくことは、助かった命をつないでいくために大変重要です。 このため、市町村では避難場所に水やトイレ、防寒用アルミシートのほか、照明、雨よけ用のブルーシートなどの資機材の整備を進めています。しかしながら、地形が狭隘であることや倉庫の設置などについて地権者の同意が得られないこと、管理上の問題などにより十分な整備が進んでいない場所もあります。 また、避難場所に通信設備の整備を進めている市町村もあります。例えば、高知市では避難者のスマートフォン本体のWi-Fi機能などを活用し、スマートフォン間をリレーする形で安否情報を外部に伝えるアプリを導入しており、また土佐市では、電波のふくそうが少なく、信頼性の高いMCA無線を中心となる避難場所に設置し、その他の避難場所との間はトランシーバーでつなぐことで、外部との連絡が取れる通信環境の整備を進めています。 こうした避難場所への資機材等の整備を進めるため、今年度、県と市町村で公的備蓄検討会を設置し、避難場所における資機材の整備について検討を進めています。年度内には整備方針を決定し、その後市町村にはこの方針に基づき、資機材の整備を進めていただきたいと考えています。 また、避難スペースや高齢者の避難における課題などについては、地域で行われます避難訓練に県の地域本部も参加をし、市町村や住民の方々から実情をお聞きした上で、市町村と連携して対応を検討してまいります。 次に、宏観異常現象に関する情報についてお尋ねがございました。 宏観異常現象は、現在のところですが、科学的根拠や統計的な裏づけなどによる地震との因果関係について解明はされていませんが、過去には実際に地震の前に、地鳴りや井戸の水位の変化などが起きたことが報告されている事例もあることから、軽視してはならないと考えています。 このため、県では、平成25年度から県内の宏観異常現象に関する情報収集を開始しており、令和2年度までの8年間で計38件の情報提供がありました。提供された情報の中では地鳴りが最も多く19件、気象現象に関するものが10件、その他は動物の異常行動に関するものなどでございました。 これまで提供されてきた情報の中には、日時、場所などの具体的な情報が不足しているケースも見られるため、今後は必要に応じて情報提供者に聞き取りを行うなど、より具体的な情報を収集してまいります。 次に、地震の予知につながるかもしれない情報の収集・分析と急激な潮位変化の監視についてお尋ねがございました。関連をいたしますので、併せてお答えをさせていただきます。 宏観異常現象について、より多角的な情報収集を行うことにより、多くのデータを蓄積していくことは、将来的に異常現象と地震発生との因果関係の解明に寄与することも考えられます。しかしながら、現状では宏観異常現象と大規模地震発生との関係について科学的知見が乏しく、いまだ学術研究機関において研究途上の段階でございます。このような段階においては、行政機関である県が主体となって、積極的に情報の収集や機器の設置、計測、解析などを実施することは、今の時点では難しいと考えております。 県としましては、現在情報を収集していることにつきまして、改めて広く県民の皆様に周知し、積極的に情報を提供していただくことで蓄積を図ってまいります。 一方でございますが、国においては、DONET、N-netと言われる地震・津波観測システムを整備しております。紀伊半島沖から室戸岬沖までのDONETは既に完成しており、地震計、水圧計等により地震・津波を常時観測、監視しております。足摺岬沖から日向灘のN-netにつきましては、令和5年度の完成を予定しております。これにより、南海トラフ地震の想定震源域全域に、地震・津波観測網が構築され、地震の揺れは陸上の観測点と比べ最大20秒程度、津波の発生は最大20分程度早く検知することが可能となるため、県民の皆様が、より早く揺れや津波から身を守ることができるようになると考えています。 最後に、先人が残した教訓と、県に報告された情報の活用についてお尋ねがございました。 まず、県では先ほどまで申しましたとおり、現在起きている宏観異常現象について情報収集を行っておりますが、先人が残してくれました教訓など、過去の大規模地震時の宏観異常現象に関する情報は収集しておりませんでした。今後は、宏観異常現象に関する情報を幅広く蓄積するために、過去の南海地震の際に見聞きされた異常現象に関する情報についても、市町村や専門家の皆様等の協力を得ながら、広く収集をしてまいります。 次に、数多く報告された異常現象を予知情報として活用することにつきましては、国におきましても現在の科学的知見からは、確度の高い地震の予測は難しいとの見解を示していますことから、現時点では難しいと考えております。一定期間内に特定の情報がもし集中しました場合には、研究機関に相談しました上で、住民の皆様に周知するといった対応を検討してまいります。   (土木部長村田重雄君登壇) ◎土木部長(村田重雄君) 仮設住宅の供給計画と、それに基づく取組状況についてお尋ねがございました。 大規模災害が発生した場合において、被災者に仮設住宅を早期に供給することは、避難生活の負担軽減と、一日も早い復興に重要な役割を果たすものと考えております。 このため、県では、速やかな仮設住宅の提供に向け、災害発生の当日から、県、市町村、事業者団体等の各事業主体が迅速に行動できるように、初動対応や建設候補地の被害状況の把握方法などを時系列に沿って取りまとめた、応急仮設住宅供給計画を策定しております。 この計画では、仮設住宅としては、まずはすぐに入居ができる民間賃貸住宅を借り上げて供給することとしており、空き家物件情報を速やかに抽出、共有する仕組みを不動産関係団体と連携して構築しております。 次に、民間賃貸住宅の借り上げで不足する分については、仮設住宅を建設することとしております。現在、全国組織である一般社団法人プレハブ建築協会や、一般社団法人全国木造建設事業協会などと災害協定を締結しており、全国各地から、建設に必要となる設備機器を含む建築資材や技術者を広く調達できるものと考えております。 また、地元事業者による木造仮設住宅の建設にも対応するため、林業振興・環境部と連携し、県内製材工場の製品である木材を流通させながら備蓄材として確保、管理し、発災時には速やかに供給できる体制の確立に取り組んでおります。現在、500棟分の木材を確保することを目指し、宿毛市や四万十町で進めているところです。 さらに、救援部隊や支援物資に加え、建築資材や技術者を円滑に受け入れられるよう、道路啓開計画を策定し、国や一般社団法人高知県建設業協会などの関係団体と実動訓練を毎年行うなど、実効性を高める取組も進めております。 今後も、発災後の生活再建が一日も早く遂げられるよう、仮設住宅の供給体制強化に努めてまいります。   (地域福祉部長福留利也君登壇) ◎地域福祉部長(福留利也君) 3世代同居・近居施策の今後の具体的な取組についてお尋ねがございました。 本年度実施しました県民意識調査では、子育て世代が親世帯と同居、近居を始めたきっかけとして、結婚が最も多くなっております。また、結婚に踏み切れない理由として、経済的な要因が挙げられております。 こうしたことから、支援を希望する方の結婚や将来的な3世代同居・近居を後押しするため、結婚新生活支援事業を実施する市町村に対して、来年度から県単独で支援することとしております。具体的には、新婚世帯が親世帯と同居または近居を行う場合に、1世帯当たり15万円を上限に、家賃や引っ越し費用などの上乗せ補助を行うものです。 県としましては、引き続き3世代同居・近居を支援する様々な情報をホームページに掲載するとともに、来年度はこの事業も含め高知家の出会い・結婚・子育て応援団企業へお知らせするなど、広く広報してまいります。また、より多くの市町村にこの事業を実施していただけるよう、個別に訪問するなど働きかけてまいります。あわせまして、事業を実施していく中で、市町村や県民の皆様の御意見をお聞きしながら、よりよい制度となるよう取り組んでまいりたいと考えております。   (副知事岩城孝章君登壇) ◎副知事(岩城孝章君) 県庁時代の思い出や、これからの県政への期待などについてお尋ねがございました。 入庁してから約43年間、様々な出来事がありましたが、今から思えば楽しい充実した日々を送らせていただきました。特に、最後の12年間は、それまでの自分の仕事ぶりから予想もしなかった産業振興推進部長、副知事を拝命し、厳しいながらもやりがいのある仕事をさせていただいた、何事にも代え難い日々でございました。 その間、一緒に仕事をさせていただいた尾崎前知事、経済の活性化をはじめとする5つの基本政策や本県の課題に真正面から立ち向かい、必ず目標を達成するという強い意志の下、力強く歩みを進めてこられました。こうした県勢浮揚に向けた尾崎前知事の強い思いを体現すべく、県庁職員は日夜必死に頑張り続けてくれましたし、こうした積み重ねた経験が県庁にとって大きな財産になったと考えています。 そして、この財産を生かしながら、これからも新しい時代の流れや社会構造の変化を見据えた県政運営を進めていくことが求められており、濱田知事の下、県庁は職員一丸となって、引き続き果敢に取り組んでいただきたいと思います。 人口減少や中山間対策など、本県の抱える課題はじっくり腰を据えて取り組んでいかなければなりません。だからこそ県民の皆様の視線に立ち、納得をいただける県政運営を職員一人一人が意識する必要があります。濱田知事から職員に向けた最初の訓示の中でも、透明性のある県政運営が共感の県政を実現する上で不可欠であるとのお言葉がありました。これまでの県政運営においても、その根底にあるのは公明正大で、かつ正直に情報公開を徹底するということだったと思います。県庁組織としてその基本を今後も貫き通していただきたいと思っています。 ◆20番(森田英二君) どうもそれぞれ御答弁いただきました。ありがとうございました。確かに、力を入れてお話をさせていただいた宏観異常現象、ハードルがね、おっしゃった、聞いたとおり、制度のハードル、お金のハードル、確かに非常に厳しいものがあります。特に3世代同居・近居の話も言えば毎回少しずつ前へ向いて進んでいく。今日も3世代同居も随分と内容の説明もいただきました。ありがとうございました。 そして、何回も何回も言ううちに、やはり我々の気持ちが通じて制度、政策になり、予算がつきというようなことも分かってきました。どうか一緒になって本音の御要望ですので、私の個人の話以外にも地域の声を私たちは持ち寄っておりますので、どうかしっかり政策に体現をしていただきたいと思います。 副知事の御退職の話は正面から申し上げましたが、ほかにもここの議場メンバーが6人おいでるし、出先機関にもおいでるし、警察にも学校職員にも随分公務員がおられまして、今回我々と一緒に--我々は特別公務員ですが、一緒に県民のことを思って仕事を進めてきた皆さん、大変お疲れさまでございました。地元へ入れば60歳、まだまだ若手ですので、しっかり地域になじんで、地域の柱になってさらに一層御活躍をされますように心から祈念を申し上げまして、一切の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明6日から8日までの3日間は議案精査等のため本会議を休会し、3月9日から再開いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(三石文隆君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 3月9日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後2時9分散会...